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海岸沿いの平野ではハウリア(ドロンズ石本)、カイ(塚原直彦)、マウナ(町屋圭祐)、ジム(片桐俊次)、ベニヘカ(道井良樹)が、穴を掘る作業に従事していた。彼ら島民は島の所有者ロビンソンの為に日々労働する。島の管理を任されている「看守」と呼ばれる、日系の代理人の目を気にしながら労働にいそしんでいた。
屋敷の厨房では代理人の妻ウメ(新野アコヤ)が、島民の女に日本の文化を教授していた。この日も給仕のアリナ(犬井のぞみ)、島民のミキ(小舘絵梨)、レイ(大野ひろみ)が集められ、味噌の作り方を教えられていた。

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代理人として赴任していたヨシオ(岩田裕耳)とその妻ウメは、明後日に退任する事になっており、通訳のイシマツ(小原雄平)がその労をねぎらう。しかしヨシオには「ロビンソンの指名」と呼ばれる仕事が残っていた。毎年最低誰か1人を島の外に送り出す決まりで、それは島民にとって必ずしも喜ばしい事ではなかった。ヨシオにとっては心苦しい職務であり、後任の代理人に任せようとも考えている。ところが今日赴任してくるはずの新しい代理人は未だ到着していなかった。窓の外、島の上空では2機の飛行機が近づいてくる男がした。
その夜、海岸でミキは一人の男に声をかけられる。妻が襲われていると誤解したベニヘカは、男を滅多打ちにし、気を失っている所を海に流した。男は日本人の様だった。

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翌日、ハウリアは自分の牧場に飛行機が墜落しているのを発見し通報する。ヨシオはその日の早朝にアリナが海岸で倒れていた男がこの飛行機に乗ってきたのだと気付き、つまりは彼がどういう素性の人間かを知る。そしてそれが島民に明らかになるのは不都合だと考た。「松田」という名が記された木札を持っていた男は、屋敷で目を覚ます。マツダ(風間庸平)が記憶を失っていたのをいい事に、ヨシオは彼を新しい代理人に仕立て上げる事にし、この島がロビンソンの私有地である事、島民が島の外へでないよう監視する事、島民に労働をさせる事、そして最後に「ロビンソンの指名」について説明するのであった。マツダはこの島はまるで牢獄のようだという考えをもつ。

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同じ頃、ジムの家でアラタ(日向翔梧)という日本人が目を覚ます。海岸で倒れていた所を、ジムの妹のレイが助け、介抱したのである。記憶を失っているアラタにレイはここがロビンソンという男の所有する島であると告げる。たった1人の男に島民が支配されている事に違和感と憤りをもったアラタであったが、ジムとレイは自分たちの境遇を諦めているようにも見えた。ジムは関わりあいを避ける為、代理人の屋敷の場所を教える。代理人の屋敷へ向かうアラタが丘にさしかかると、地図を片手に海を眺めるマツダと出会う。2人はお互いが日本人である事に安堵を覚え、この島の場所や、代理人による支配について情報を交換する。

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記憶を失っているアラタに対し、レイとジムは代理人を名乗る事を提案する。そうして命を助けた見返りに、自分達を指名から外すようにと要求する。無謀な提案に尻込みしながらも彼らの境遇をなんとかしたいアラタは、新しい代理人を騙って屋敷を訪れる。そこで応対したのはウメであり、この島の現状を聞かされる。
同じ頃、マツダは牧場で飛行機を発見する。マツダに自分の素性を思い出されては困るヨシオはこの場所から遠ざけようとするも、マツダは飛行機の中に荷物があったのではないかと捜索する。しかし荷物は第一に発見したハウリアが密かに持ち去っていた。マツダは怒りと絶望に震えていた。

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指名の期限は迫り、それが誰に対してされるのか気が気でない島民たちはヨシオの屋敷を訪れる。そこで新しい代理人として紹介されたのはマツダであった。初めは歓待のムードも漂ったが、思い違いが交錯し、不法侵入した密漁者だと思い込んだ島民たちはマツダに敵意を向け始める。
誤解を解こうと必死になるヨシオ達だったが、そこへジムとレイの頼みを聞いたアラタも代理人として屋敷を訪れる。マツダとアラタがお互い「代理人」と名乗り、島民はどちらが本物なのか混乱し、殺気立つ島民たち。事態の混乱を避けるため、ヨシオはマツダを一旦拘束させる。

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自分をニセモノだと自覚しているアラタは、本物だと思っているマツダに謝罪し、事情を話す。マツダは指名の条件として何故か木札を持っている者を特定する事を提案する。こうして「木札を持っている者は指名されない」という情報が島民に出回るが、アリナの聞き間違いにより「持っている者は指名される」という逆の情報も流され初め、島民たちは木札の押し付け合いと、奪い合いをはじめる。
アラタはマウナの下を訪れ、この島がハワイ諸島の一部だと知る。そしてロビンソンの支配や指名についての自分が誤解していたと気付く。その時、本島との無線が回復する。そこから流れたのは昨日の朝、オアフ島の真珠湾が日本軍の奇襲されたというニュースであった

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日本と戦争が始まった事を知った島民は、アラタが日本兵ではないかと真っ先に拘束する。マツダは木札を持っている者が一緒に持っているであろう機密の文書を求めて島民の家を襲撃し始める。ヨシオとイシマツはマツダを制止しようと屋敷を飛び出した。マツダはハウリアの家に捜索に入り、そこでヨシオ達と合流したが、島民たちに包囲されて逃げ場を失う。やがて島民が諍いを起こしているうちに脱出を試みも、島外へ逃げるのは無理だとイシマツが忠告する。マツダは事前の作戦では被弾した機体はこのニイハウ島に不時着し、海岸に伊号34潜水艦の第83番艦が救助を待つ手筈になっていたと告げる。

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逃げるのは不可能と悟ったヨシオの導きにより、マツダは山頂の洞穴に身を隠した。そこへ2人を案じてアラタが訪れる。投降を勧めるアラタを退けて、自決を主張するマツダであった。機体を損傷させ、機密書類を奪われたマツダは生き恥を晒す事を善しとしなかった。ヨシオは恥をしのんでも生き延びるべきだと窘める。それでもマツダの意思は変わらなかった。ヨシオは、自分も共に死ぬ事を申し出る。自らも日本人として死ぬことでこの不幸な青年の短い生に、最期まで寄り添おうと決意したのだった。ヨシオはマツダに銃口を向ける。マツダは自分の本当の素性を名乗った。その瞬間、アラタは銃身を掴み取った

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屋敷にはウメを拘束しようと島民たちが殺到する。
ウメは慌てる様子もなく、最後の晩餐を前にして静かに夫の帰りを待っていた。
彼女にはこれから訪れる過酷な運命を受け入れる覚悟ができている。
ウメはお椀の汁を静かにすすり、顔をしかめる。
遠くで2発の銃声が響いたような気がした

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