【91】 ジム「他に何が入ってた。おそらく、本命はそっちだろ」 ハウリア「よくわからん書類だが、何か重要な物だろう。軍に引き渡せば」 カイ「礼金がもらえると。金に目がくらんだか」 ハウリア「バカにするな!俺はこの国の人間だ。国に尽くす義務がある」 ベニヘカ「そんな義務はない。侵略者の国だぞ」
【92】 レイ「隊を3つに分けるわ。第1班は裏手を固めて。第2班は正面入り口で陽動。第3班は2班がひきつけてる内に、窓下に」 ハウリア「何だ。お前の妹は海兵隊か何かか」 ジム「おい。恥ずかしいからやめてくれ」
【93】 マツダ「あの男、娘がいませんでしたか?いなくなったとか。な、なー」 イシマツ「もしかしてナーショですか」 マツダ「見つかっていないんですよね。ここで人質に取っている事にしましょう。それを条件に、荷物を取り戻します。交渉してください」 イシマツ「…本気ですか?」
【94】 マツダ「泣き叫びます。えーん、えーん!」 ハウリア「……ナーショが。…喋った!喋ったぞ!」 ヨシオ「……不思議そうにこちらを見ています」
【95】 ヨシオ「私達に脅された事にすれば、君に危害は加えまい。今は人目に付きすぎます。しばらくは山の中に身を隠しましょう」 イシマツ「屋敷で奥様が、待ってます」 ヨシオ「…朝までには帰ると。伝えてくれ。ここで一旦、お別れだ」
【96】 ヨシオ「…機密を奪われたぐらいで、殉ずるなんて崇高でもなんでもない」 マツダ「それがどんなに重要な事かわかってない!」 ヨシオ「私はこんな死に方を美談なんかにさせんよ!」
【97】 マツダ「子供の頃から飛行機乗りに憧れた。いつかはそれで世界を巡ってみたい。ようやく夢がかなったと思ったら。…こんな事の為に…本当は…。本当は…。死ぬのが、怖いです」 アラタ「…死んではダメだ。マツダさん!」
【98】 アリナ「奥様、住民たちが屋敷に乗り込んできました」 イシマツ「アナタを軍に引き渡さなければなりません。売国奴の妻として」 ウメ「わかってます」
【99】 イシマツ「ここから、過酷な運命が待っていますよ」 ウメ「それでも。泥水すすって生きるのよ。あの人、どこまで行ったのかしら。アラタさんが、探しに行ってくれたんだけど」 イシマツ「少し、遅くなるかもしれませんね」
【100】 ウメ「あの人、今日は戻ってこないかもしれないわね」 ―お椀をすすって、渋い表情をする。
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撮影者:佐藤淳一 ※この画像の著作権は団体並びに撮影者に帰属します。