【31】 ミキ「それに、別にここで偶々会ったからって、後ろめたい事をしているわけじゃないわ。お互い何も意識する事なく、別々に海を眺めたり、変なステップを踏んだりしているだけ」 ベニヘカ「何だその無意味な時間」
【32】 レイ「誰かいらっしゃるんですか?」 アリナ「新しい代理人」 レイ「…え。来てるの?…それはマズいな」 アリナ「と思ったけど、全身ずぶぬれで浜辺に打ちあがってるわけないし」 ウメ「…全身ずぶぬれだったの?」 アリナ「言いませんでしたっけ。私が発見しました。お客さん来てます」
【33】 ウメ「私こちらの言葉はもちろん、公用語ですら片言なので」 アラタ「私は、その、アラタと言います。私のこの言葉はわかりますか」 ウメ「もちろん。アラタ。「新しい」という意味よ」 アリナ「じゃあやっぱり。新しい代理人の方ですね?」
【34】 ウメ「味噌から自分で作ったんです。島の農場では豆を育ててましてね」 アリナ「でも飲みます?本当に?」 ウメ「長らくここに勤めると、自分が何人なのか見失う時がありますから。この味を傍においておいてください。味噌は納屋にあります」
【35】 ヨシオ「そして最も重要な職務として『ロビンソンの指名』と呼ばれるものがあります。一年に一度、島民の中から誰かしらを指名をする」 マツダ「選ばれた人間は?どうなるのです」 ヨシオ「いずれわかります。まずは代理人としての初めの仕事として、是非、それをお願いしたい。誰を指名すべきか、考えて頂きたい」
【36】 マツダ「代理人とは良く言ったものです。実質、看守というわけですか」 イシマツ「いえ、そんな大層なものじゃ」 ヨシオ「黙ってろ!代理人の仕事に口を挟むな!何も知らないくせに!」 イシマツ「えぇぇ…?急に?…そんな態度になります?」
【37】 アラタ「これ土の味がしますね」 ウメ「それは?大地の味って事?」 マツダ「泥水ですか?」 イシマツ「そうなんですよ」
【38】 ジム「アンタが、今後、俺達兄妹を指名から外してくれればいい」 アラタ「君達が助かったら他の人だ。指名自体をやめなければ意味がない」 ジム「そんな事できるのかよ」 アラタ「まずロビンソンと話がしてみたい。この島がいかに歪んでいるか」
【39】 ウメ「今日の最後の晩餐に、召し上がりたいものありますか?」 ヨシオ「ここへ来た日、君が作ってくれた『ざくざく』。美味かったな」 ウメ「嬉しいわ。喜んで作りますよ」 アリナ「ザクザク」 ウメ「ざわざわしなくていいのよ」
【40】 ハウリア「ですから、気付いたのは昨日の」 ヨシオ「日が沈む少し前だな。もう行っていい」 ハウリア「ですから。何で報告が遅れたかというと、昨日は豆の」 ヨシオ「豆の豆を豆してたんだな。もう行っていいぞ」
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撮影者:佐藤淳一 ※この画像の著作権は団体並びに撮影者に帰属します。