【81】 ベニヘカ「わかっている。彼女に報いてやりたい。どんなに惨めでも、不自由をさせてはならないと思っている。上手く伝わらないだけだ。彼女は何もない俺に遺された唯一の宝だ。だからナ」 ミキ「…アナタ」 ハウリア「よし、よく言った!俺は感動した!これをやろう」
【82】 ミキ「アナタはもしかしてすべてを理解した上で、それを他の皆に配っているの?そうなんでしょ?それが部族長の使命だと思ってる」 ハウリア「違う。配っているのは俺だ。俺が『木札配るおじさん』だ」
【83】 マウナ「昨日の朝から本島への無線が一切通じないのです。どこが悪いのか調べようとしても、手先が震えるので、静かに見守っています」 アラタ「やっぱり人選ミスですよね」
【84】 アラタ「よく聞き取れない。何て言ってる」 マウナ「昨日の朝…オアフの真珠湾が攻撃されたと」
【85】 マウナ「レイ。残念なお話が。父親は。ヒロは死にました」 レイ「…何で」 アラタ「ちょっと待ってくれ。もっと言い方があるだろう」 マウナ「勤務していたオアフの基地が、日本の艦隊に攻撃を受けました」
【86】 マウナ「いつもすまない」 アラタ「何だよこの液体は!気持ち悪いな!」
【87】 ウメ「あの方、どちらへ行かれたんでしょう」 ヨシオ「何を心配している」 ウメ「納屋に保管してあった猟銃がなくなってるんです」 ヨシオ「…バカな真似を。…わかってる。すぐに戻る」 ウメ「『ざくざく』できてますから。冷めないうちに戻ってくださいね」
【88】 マツダ「お兄さんはどこです。木札を、返して欲しいんです」 レイ「…何の用ですか。日本の兵士を連れて行ってまだ戻りませんけど」 マウナ「札はアナタの物ですか?教えてください。『イ3483』とは。紀元34年8月3日を示しているのでは。今から1900年以上も昔」 マツダ「それとは他に、荷物があったはず。荷物はどこだ!」
【89】 ベニヘカ「黙ってろ。奴がこれを受け取ろうとしたその一瞬に、必ず隙が生まれる。そこで銃を取り上げる。そしたらとびかかれ」 ミキ「アナタ、全部聞こえてます」 ベニヘカ「よし。今のは無しだ。どうぞ」
【90】 ウメ「私にはわかる気がします。長い間、肌の色の事で苦労してきましたから。国と国との関係が悪くなれば、私たちがどんな人間かは関係なくて、ただ日本人というだけで、毛嫌いされる。あの人はね、日本人である事に、誇りも持ってるんです」 アラタ「…暮らしづらくなりますよ。それを捨てないと」
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撮影者:佐藤淳一 ※この画像の著作権は団体並びに撮影者に帰属します。