【21】
多夏美「入ってきた玄関が無くなってるってどういう事」
冬子「見間違い、じゃないの。勘違いとか」
千秋「玄関を塞いで壁にしたの？左官屋さんの人、誰？手を上げて」
春香「そんな発想するの世界中でアナタぐらいなものよ」

【22】
ユウシロウ「車なんか知りませんよ。外に出れないし、ここには窓もない」
千秋「ひどい。アレを…アレしたのね？」
冬子「カマをかけたのね。私たちがここで何をしていようが関係ない」

【23】
千秋「どこ行くのよ。出口はないのよ。左官屋さんが、急に塞いだの」
冬子「そんな事考えるの世界中でアナタぐらいなものよ」
ユウシロウ「いえ。アナタと気が合いそうな男がいますが紹介しましょうか」

【24】
埴生「おそらく俺を拉致した奴は、空き家だと思ってたここに侵入し、管理人と出くわした。それで。彼も手錠をかけられていたしな」
春香「それ、本当なんですか。それ、本当に管理人？」
埴生「本人が言うんだから。一旦真に受けとくしかないな。アンタは？」

【25】
コウイチ「俺、イズイタコウイチと言います。ここで暮らしてます。あ、所有者とかそういうんじゃなくて。ここで暮らしています」
春香「ちょっとよくわからないけど」

【26】
有端「あ、小さいのが入ってた」
要「ええ。マトリョーシカですから」
有端「その次は？また小さいのが入ってた」
要「ええ。マトリョーシカですから」
有端「これって、結局、何なの」

【27】
大海「それより、依頼したのか。どれくらいで着手するんだ。お前の家族の事ぐらい、調べればすぐにわかるぞ」
金弥「脅迫する度胸があるなら、ご自分で始末をつければいいのに」

【28】
要「僕は時として、自分の意思とは関係なくやらざるを得ない。逆にやりたいと思ってもやる事ができない。まるでより大きな何かに命令されているかの様に感じる事がある」
有端「私は自分の意思で生きてるつもりですけど」

【29】
有端「マトリョーシカの最後の人形を無理やりこじ開けると一際大きいものが出てくるのね。いや、そんな馬鹿な。え、誰よ？！」
ミユキ「ああ、やっぱりそうなりますよね」

【30】
ミユキ「上手くいえないんですけど。歯痒い！あの私ですね、持ち主のいないはずのこの家に不法に住みこんで、お金を貰うって言う」
有端「犯罪だな。出てってください。人を呼びますよ」
ミユキ「私達、閉じ込められたんです。この家に。出口がないんです」