【91】 嵯峨「山部さん、危ないです。死んじゃいますよ」 河瀬「やめてよ。何してんの」 山部「最悪撃たれても、撃たれてない事にすればいい。死なない事にする」 双葉「デスク、頭良すぎて何言ってるかわかりません」
【92】 和泉「歯切れの悪い報道機関に幻滅していたからです。検閲を恐れて真実を歪めている事実を、世間に知ってほしかった」 天下「それでこんな面倒起こしやがって。勝手な事いってんじゃねぇ! 関野「俺らが言う事じゃねぇです」
【93】 和泉「僕のせいで、迷惑をかけてしまいました。すみません」 平井「もう謝らないでください。そして、死のうだなんて思わないでください。私も、もう思いませんから」 和泉「平井さん、僕は」
【94】 天下「だが、平井じゃない事はわかる。新聞を見た時は目を疑った。平井があんな事をするとは思えなかったしな」 平井「やっぱり、父を知ってるんですね」 天下「別れた女房が選んだ男だ。売れない画家だったかもしれないが、他人の子供を、我が子のように愛情注ぐ男だ。俺は冤罪だと思ってる」 平井 「ありがとうございます」
【95】 平井「でも、アナタの生き方を理解してる人もいるんじゃないでしょうか。違っていたらごめんなさい。もしかして、アナタは」 天下「…関野、行くぞ」
【96】 嵯峨「そうした所で今度は自らが、何か見えない声を慮って検閲を始める。それがいずれ自分たちの首を絞める事も知らず。まるで。自らの尾を呑み込む蛇のようですよ」
【97】 野村「占領軍に協力するのは嫌です。不愉快で仕方ありません。敵国ですから。でも、生活するためには仕方がない。そんな私でも、何とか一矢報いたい気持ちはあるので。私なりの戦い方です」 児玉「俺もまた、戦ってみようかな。もちろんペンで」
【98】 藤丸「そうか。あの男。どこかで見た事あると思ったら、あの日銀行でぶつかった」 野村「え、彼が?あの日、現場にいた」 藤丸「今みたいに、何かの腕章をつけてた」 児玉「まさか。…本当に事件に関与を?」
【99】 双葉「…先生。私達…夢の中で、いや、もはやどっちが夢で現実なのか」 嵯峨「私、思うんです。今、私たちが知覚しているこの現実も、誰かの創造物の中の世界かもしれないと」
【100】 嵯峨「自分の意思の自由さが、誰かの自由を阻害して、誰かが自分を阻害する。些細な事で過度に潔癖で不寛容な社会はすぐに目くじらを立てる。なら、今ここにいる私達は、この先どう行動すればいいのか。だって何かを侵せば、この作品は消えてしまうかもしれない」
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撮影者:佐藤淳一 ※この画像の著作権は団体並びに撮影者に帰属します。