【21】 山部「日曜は家族で出かける用事が」 河瀬「家族。なんだかんだで奥さんと上手くやってんだ。そうかそうか」 山部「そうじゃない。親戚の法事なんだ。いや、ホントに」 河瀬「今度奥さんにお会いする機会があったら『なんだかんだで奥様と上手くやってるんですね』って伝えないと」 山部「やめろ。バカ」
【22】 児玉「だが、それに許可をだしたのはデスクのお前だろ」 山部「俺がデスクになったのはつい先週だ。前任の尻拭いじゃたまらん」 児玉「出世するのも考えものだな。そもそも、記事は誰が書いたんだ」 山部「俺だよ」 児玉「じゃあ行けよ!お前、よく今まで他人の顔が出来たな!」
【23】 井上「頼みますよ。あの人には返しきれない恩と借りがあるんです。先生の面子潰しちゃ、命で詫びるしかないじゃないですか」 立花「命だなんて、そんな、大げさですよ」 井上「大げさ?私は本気ですよ。それぐらいの覚悟でここにいるんですよ」 立花「井上さんは、あの人の何なんですか?」
【24】 山部「お、お待たせしました。デスクです。デスクの…デスクと申します」 関野「山部って記者に会わせろって言ってんだ!連れて来いよ!」 山部「生憎、休暇中でして。代わりに、お話しだけでも」 関野「休暇だぁ?そんなもの関係あるか。無理にでも引っ張って来い!」
【25】 嵯峨「『戦時中には本場、大陸に渡り、自ら激戦地を選び、棋盤一つで中国人と指しまくった』」 天下「向こう行って将棋指しまくってんじゃねぇか」 山部「お言葉ですが!一つ事実誤認があります!将棋ではなく囲碁です」 天下「なぁんだ囲碁かぁ!」 関野「どっちでもいいんだ!」
【26】 関野「下書きじゃあ、『戦地の日本兵は、その天下の戦いぶりに畏敬をもって、こう呼んだ【支那の悪魔】と。』って書いてあったんだよ」 天下「それが何で記事では【信濃の熊】に変わってるんだ。信濃の熊って、長野の熊だろ。それただの熊だろ。熊が囲碁打てんのか。天才熊か」 山部「ほ、本人に確認して、ご、後日回答させ、させます」
【27】 児玉「すみません。野村さん。結論から言うと、お力になれません」 野村「そうですか。…わかりました。大丈夫です。もう慣れましたから」 児玉「これ、ウチが出資してる映画のチケットです。よかったら」
【28】 児玉「それらは全て、誰もがそうで会ってほしいと言う筋書き通りだから。犯人は金に困っていた。事件直後に急に金回りがよくなった。犯行に使われた毒薬の知識があって、当日のアリバイがなく、目撃者の証言を元に描かれた似顔絵に似ていた」 双葉「…これは、あの作品の中のやり取り」 平井「…おかしいです」
【29】 双葉「この後、彼女は、薬を―、毒を取り出して」 嵯峨「彼女、やっぱり死んじゃうんでしょうか」
【30】 双葉「真相究明を訴えかけるも、どこにも相手にされず、最後の頼みとしてここを訪れた。それが拒絶されて社会に絶望し、死を選んだ」 平井「だから何で知ってるんですか」 嵯峨「何から何まで考えを見透かされて、この人、気持ち悪いですよね?」 双葉「先生、それはないでしょ!」
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撮影者:佐藤淳一 ※この画像の著作権は団体並びに撮影者に帰属します。