【41】 野村「私も、子供の頃に読んだ事があって。懐かしくて」 藤丸「俺も、孫に贈ってやったんだ」 井上「いやいや、そこは何か言う前にまず、『若々しくて、60には見えないです』じゃないですか」 野村「…若々しくて、とても50には見えないです」
【42】 井上「あの時、無理にでも傍にいるべきだんたんだ」 神沢「井上、今更嘆くのはおやめなさい。何とか家を守らなきゃって事で頭がいっぱいで、幼い息子の事を」 井上「あの野郎、旦那様の行動を下調べ済みだったんだ」 神沢「井上、息子の話をさせて。息子の事を顧みる余裕なんてなかった」 井上「あと半歩、あと半歩前に出ておけば」 神沢「井上、うるせぇな」
【43】 藤丸「でも、発禁処分らしいぞ。卑猥で破廉恥な表現が、いや違う違う」 神沢「どういう事なの井上。…息子との思い出が発禁?ちょっと眩暈が」
【44】 立花「これと言って、問題があるようにも思えないんですけど。クマに家族を殺されたヘビが、復讐をしようとする。でもそのままでは勝てないから。クマが冬眠するのを待ってから、戦いを挑んだ」 嵯峨「待てば機会が訪れるみたいな話ですか。というか。変な話ですね」
【45】 双葉「あの人どういう人?全くの素人よね?急に作家になろうと?」 立花「20年くらい前、何かの作品を出版したような事は言ってました。家業が忙しかったとかで。どうういう関係かわからないですけど。あの中途採用の井上さんが恩がある人みたいで。その伝手で」 双葉「じゃあ、その仕事?を引退したかなにかで、時間ができたと。それで、書き写す時間があったと」
【46】 嵯峨「井上さん、死ぬつもりなんですか?」 立花「冗談だと思うんですけど。本当に死なれたら、私のせいみたい」 双葉「それはダメだ。…この世界が消滅するかもしれない」 立花「何言ってるんですか」 双葉「だから何でアナタ自覚ないの!?」
【47】 山部「声が大きい。今、連中は応接室にいる」 河瀬「何で出口を封鎖するの。熊と同じ空間にいたら危ないじゃない」 山部「一旦、熊の事は忘れてくれ」 野村「熊がでたの?この建物に?」
【48】 河瀬「思い通りの記事を書かせようななんて暴挙が許されるわけない」 山部「それ、言えるか?面と向かって天下の前で言えるか?」 河瀬「それぐらい言ってやりなさいよ。毅然と。じゃ、私が言ってやるわ」 山部「よし、頼めるか」
【49】 天下「さっきの男は」 平井「記者の方です。まだ新米みたいですけど」 天下「あれはアンタの、その」 平井「優しい人です。困ってる私に、色々と親身になってくれて」 天下「そうか。そういうやさしさを持った男がいいな」
【50】 平井「これよかったら、映画のチケットだそうです。『とびこみヤクザ』」 天下「残念な題名だな」 平井「はみ出し者のヤクザがひょんな事から囲碁の世界に飛び込んで、大陸に渡って、さすらいの対局を続け、時々大暴れするらしいです」 天下「何でもう映画にまでなってんだよ!おい!山部!どういう事だ!」
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撮影者:佐藤淳一 ※この画像の著作権は団体並びに撮影者に帰属します。