【81】 神沢「…あの時の事を言っているのね。結婚を認めて欲しいって」 天下「何の話だ、神沢の!中にテメェの息子がいるのか!娘に何を」 井上「汚ねぇ手で先生に触るんじゃねぇ!」 天下「クソ掴むテメェの手の方が汚ねぇだろうが!」
【82】 児玉「郵便物は検閲を受けている。そうですよね、野村さん」 野村「私、郵便局で働いてますけど、そんな話聞いた事もありませんよ」 児玉「占領軍への批判を行っていないか、違法なやり取りをしていないか。封書は一度開かれて、中を書き写された後、再び丁寧に封をされる。国民は読まれているなんて気づかない。気づかれてはいけない」
【83】 双葉「江川さん。この本が発禁になったのも、おそらく同じ理由です」 神沢「どこがいけないの。【へびばくだん】の部分かしら」 双葉「難局を耐え忍び、いつか復讐を成し遂げようとするその意気込みが、この国の姿と重なると、GHQは考えたのかもしれません」
【84】 井上「イズミさん、何か言ったらどうですか」 天下「テメェのガキは、女を楯にして何してんだ!死んで詫びろや!」 井上「何の言いがかりだ!」
【85】 立花「双方にどんな因縁があるかは知りませんが、それに巻き込まれた若い二人はどうなります。物語では、追い詰められた偶発的に死を強いられます。彼らはまさに、同じ様な覚悟でこの部屋にいるんです」 天下「バカな事いうんじゃねぇ」 立花「私、直接聞きました。間違いありません」
【86】 天下「アンタが生まれた時、親父はこう思ったはずだ。自分のロクでもねえ人生の業を、少したりとも背負って欲しくないってな。だから、自分の元から離れても、それでいいと思ってた。決して身勝手に捨てたわけじゃねぇんだ。いつだって、アンタの幸せを願っていたはずだ。何を憚る事もねぇ。愛した男と、添い遂げな」 平井「はあ」 関野「温度差」
【87】 和泉「あの日、午後3時過ぎ、私は池袋支店に東京都防疫班の白腕章を着用し、厚生省技官を騙って訪れました」 関野「え。…あの日、午後3時過ぎ、東京都の腕章を着用し訪れました」
【88】 山部「アンタ!何で猟銃なんか持ってんだ!」 藤丸「決まってるだろ。熊を撃つんだよ。いるんだろ?長野の熊が」 山部「熊なんかいねぇよ!いたなぁ!」 天下「俺の事か!井上!こいつお前んところの鉄砲玉だな!」 井上「知らねぇし!」
【89】 和泉「そう。今日、僕も記者室の急須の中に、第1液を入れておきました」 児玉「あの、白湯が…」 和泉「ここにいる皆さん、一度は飲んでいるんじゃないでしょうか」 天下「あれ?これじゃね?」
【90】 和泉「自分は大きな陰謀の一部を担わされた。それで罪のない人を殺し、誰かの家族を奪い、アナタの父親を犯罪者にした、何よりあなたを今も苦しめてるのにそれを誰も暴けない。…もう耐えられません」 平井「…そうだったんですか」
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10
撮影者:佐藤淳一 ※この画像の著作権は団体並びに撮影者に帰属します。