貧しかったその町に
工業団地を誘致して
発展させた町長は
8期にわたり君臨し
いつしか揶揄を込められて
「エントツ女王」と呼ばれます
女王が次に望むのは
神様が住むあの山を
世界遺産にしてみたい
だけどもかつて自らが
誘致してきた工場の
白い煙が邪魔をします
景観すてて産業か
産業すてて景観か
エントツ女王の難題に
情熱と知恵で向き合わず
エゴだけ振りまく人たちの
群像喜劇でございます
●設定●
【繊美町について】
繊美町(しなびちょう)は、とある内陸県の南西部にある人口2000人強の町。
かつては自給的食糧生産である焼畑と現金収入の道である林業・木工業、養蚕、換金作物(木綿・茶)の栽培との複合的な生業が営まれてきた。
50年前に過疎に悩む伏来村・木ノ部村が合併し、繊美町として町制が開始されたが、その後も人口の流出と減少は続く。
32年前に一人の女性が、町の復活を掲げ町長に立候補し見事に当選した。
町長は、この地方一帯で昔から盛んな、生糸や絹織物といった繊維産業に目をつけ、初当選から10年後、天篝山の南麓に工業団地用地を造成し、県内外から工場を誘致し、産業を大きく発展させる。
現在、町の労働人口と共に人口も倍増しつつある。潤った財政を背景に近年、総工費5億円をかけて、地上5階建ての庁舎を新築した。
このように順調に見える町政だが、工場から出る排煙が一部で健康被害を起こすなど問題視されている。
町長はその信念と行動力がもたらす功績で8期にわたって君臨し、いまや議会すらも押さえつける強権ぶりを発揮している。
町民からは尊敬と揶揄を込めて「エントツ女王」と呼ばれている。
【天篝山について】
天篝山(てんこうざん)は、町の北部にそびえる標高2,200メートルの山。
県境にまたがる山脈とは距離の離れており、独立峰に位置づけられる。
夏の登山シーズンには県内外から多くの登山客が訪れる。
かつては標高2,500メートルはあったとされるが、江戸時代の正徳年間に起きた噴火により山頂部が変形、陥没し今の形となる。
古来より霊峰とされ、約500年前に山頂付近の岩屋で、伝承であった御神体とされる岩が実際に発見された事から信仰が一気に広まり、住人たちは岩屋に社を建立し御神体を祀った。
今から30年前に暴風雨によって倒壊するが、町の主導で改修が施される。
諸説あるが、「篝(かがり)」という火を入れるカゴを意味する字が当てられているのは、火山である事に由来する。
地元の人間は「おかがりさん」と呼んでいる。
●登場人物●
仲元 朋睦 (なかもと ともちか)
繊美ブランド推進特命チーム (総務課 資料室) 演:内浦純一 |
如沢 智衣 (しかざわ ちえ)
総務課 課長代理 演:新野アコヤ |
浅芽 弥彦 (あさめ やひこ) 総務課 課長 演:道井良樹 |
卯野 咲子(うの さきこ)
繊美ブランド推進特命チーム (振興課 主幹)
演:吉岡優希 |
苗場 皐生(なえば さつき)
繊美ブランド推進特命チーム (臨時嘱託職員)
演:小林知未 |
木枯 泉水(こがらし いずみ)
繊美ブランド推進特命チーム (環境課 衛生係)
演:なしお成 |
文岡 詠美(ふみおか えいみ)
町議会議員 (2期目 町長派)
演:小舘絵梨 |
落合 葉平(おちあい ようへい)
繊美ブランド推進特命チーム (振興課 産業係)
演:田中のぶと |
長男 末男(ちょうなん すえお)
繊美ブランド推進特命チーム (振興課 観光係) 演:小原雄平 |
神原 善守(かんばら よしもり)
繊美ブランド推進特命チーム (環境課 主幹) 演:贈人 |
降屋 霜太(ふるや そうた)
町議会議員 (3期目 町長派) 演:祥野獣一 |
馳川 孝師(はせがわ たかし)
町議会議員 (1期目 中立派)
演:片桐俊次 |
国大 麻臣(くにひろ あさみ)
町議会議員 (7期目 町長派)
演:坂本ともこ |
野老 一兵(ところ いっぺい)
町議会議員 (1期目 町長派)
演:ドロンズ石本 |
秋丸 詩花(あきまる しいか)
町議会議員 (6期目 反町長派)
演:下平久美子 |
堀江 菜花(ほりえ なのか)
第13代 繊美町長 演:下平久美子(二役) |