物語の背景【警視庁捜査一課特殊犯係】 of #027 また悪だくみをしているのね

000033984.jpg

sit.png
(wikipediaより抜粋)

全国の都道府県警察本部、刑事部捜査第一課に設置されている係で、誘拐事件の捜査や、人質立てこもり事件の捜査を担当している。警察内部では「特殊犯」と略されることが多い(「犯」は犯罪の略。「班」は使わない)。
都道府県によっては「特殊犯捜査班」、「特殊捜査班」、「特殊捜査隊」などと呼ばれることもある。また、報道機関では特殊班、SIT(エスアイティー)と呼称されることが多い。

創設

yodo.jpg警察庁では、1970年に発生したよど号ハイジャック事件等を教訓として、刑事局捜査第一課に「特殊事件捜査係」を設置した。特殊事件捜査係は、1995年に発生した地下鉄サリン事件を受けて「特殊事件捜査室」に名称を変更した。特殊事件捜査室は、広域にわたる重大事件やテロ事件の捜査指揮を行う組織であり、現場における捜査、犯人の逮捕は都道府県警察本部が行う。
警視庁では、前年に発生した吉展ちゃん誘拐殺人事件の教訓から、1964年4月1日に、特殊犯捜査係が創設された。創設時は、警部1人・警部補1人・巡査部長2人・巡査2人の計6人体制であった。当時は、吉展ちゃん誘拐殺人事件の継続捜査にも従事していた。

概要

ph200021.png特殊犯捜査係は各都道府県警察の刑事部捜査第一課に編成されており、人質立て篭もり事件や誘拐事件、企業恐喝事件、業務上過失事件などに出動し、犯人を逮捕することを主要な任務としている。
1990年前後から、警視庁刑事部捜査第一課では、特殊犯捜査係を「SIT」と呼称する事が定着し始めたが、これはSousa Ikka Tokusyuhan(捜査一課特殊犯)の略称だったといわれている。当時の警視庁刑事部捜査第一課員の証言によると、会議の際に課や隊の名称を掲げることになっているが、存在をマスコミに悟られないよう苦肉の策としてローマ字表記(Sousa Ikka Tokusyuhan)の頭文字を取りSITとしたのが始まりだという。それを在外公館勤務経験者の捜査第一課管理官が「Special Investigation Team」の略と解釈してしまい、公式名称となったと言われている。
大阪府警察本部では、刑事部捜査第一課特殊事件係を「Martial Arts Attack Team」の英語名称から通称、MAAT(マート)と呼称しており、1992年4月にこの呼称が制定された。大阪府警察本部の特殊事件係は、MAATと名付けられる以前から存在し、三菱銀行人質事件(1979年)や、グリコ・森永事件(1984年~1985年)などに出動している。
特殊犯捜査係は普段から様々な事件を想定し、機動捜査隊などと協力して、車両を使用した追跡訓練、特殊通信、逆探知、交渉(説得)技術の訓練などを実施している。人質立て篭もり事件が発生した際は重装備で出動し、犯人が説得に応じない場合は強行突入をおこなう。強行突入の際に、特殊犯捜査係に機動捜査隊員を加えて、突入班を編成することが多い。
重装備で突入をおこなうことから、テロリストに対処する警備部の特殊部隊(SAT)・銃器対策部隊などと混同されがちであるが、特殊犯捜査係は刑事部の特殊部隊であり、一般刑事事件の強行犯に対処する。そのため、特殊犯捜査係の行動方針では犯人への射撃は最後の手段とされており、可能な限り逮捕を優先すると言われている。なお、アメリカ警察のSWATも特殊犯捜査係と同じ方針で活動している。


sit2.png