檻の中にいるのはお前の方 of シアターグリーン3劇場連動企画

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サマは町の地下で非合法の酒場を営む。ごく一部の住民が集まっては行政府当局への不満を漏らすたまり場となり、またハッシがウルを保管する場所として利用していた。その日もハッシはウルの枯渇を案じながらも3つのウルを保管台に置いた。
その壁を一枚隔てた向こう側。ERE軍東ビスキア駐屯兵の一団は前文明の名残のある地下室を発見した。部屋のモニターには「1」の数字が示されて、床には一人の男が座っていた。男はタダキと言いALだと名乗った。兵団副長セナイはシムとナトリにタダキの聴取を任せ引き上げていく。聴取を始めた途端、モニターの数字が「3」に増え、カウントダウンが始まる。この床に数字の人数を載せていないと、町が消滅するという。不安を感じたシムとナトリは床の上に乗る。ここは檻のない牢獄であった。やがて兵団の調査に痺れをきらした行政官ノーベンと秘書官のミドが直々に地下室へやってくる。床に乗った3人をUSQの捕虜と思い込み、面白半分でからかっていたが、あわや床に引きずり込まれそうになる。恐れをなしてミドに見張りを命じて逃げていくノーベン。
するとその時、壁を破ってタリムとジローが飛び込んでくる。彼らは地下を掘り進み西側を目指していたのだった。牢の仕組みを熟知したタダキはタリムを言葉巧みに誘い込み床をおりる。こうして自我を持ったALタダは町へ解き放たれた。



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酒場ではゴドウがいつもの通り、国境の壁や兵士たちに静かな敵意をむき出しにしている。だがそんな彼にも気を使わせるほどにこの日はムゴルが荒れていた。妻ユカリの元夫ダムスは戦死したと思われていたが、つい先ほど帰還した事が彼の心を荒ませていた。
床を抜け出せずに苛立つタリムを尻目にるジローを身代りに外へ出ようと画策するシムとナトリ。しかし疑心暗鬼が生まれ、結局、ジローにタダキの行方を探すよう指示する。
タリムの掘った穴を辿って母ランがやってくる。町長になった彼女はタリムがこのような暴挙に出た心情を理解しながらも受け入れる事が出来なかった。悲壮な剣幕で詰め寄り床に乗ってしまったランの代わりにナトリが牢を抜け出す結果となった。ランの説得を受けたタリムは地下を掘る事を諦めると誓う。牢の仕組みを知らない事から、ランは不用意にタリムを連れて出て行ってしまうが、何故かモニターの数字は「0」になり、シムは一抹の不安を残しながらも地下牢を後にする。様子を見に来たミドは部屋に誰もいない事に驚愕する。と同時にモニターの数字が「1」を示している事に驚愕しつつ、渋々床に乗る。
ジローはゴドウ酒場にやってきて地下牢での顛末を話す。そこでウルを保管している台の模様と、地下牢の床のそれが同じである事に気付く。入れ替わるようにサマの酒場へは牢を逃げ出したタダキ、そしてアインという男が訪れた



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町の住人ではないタダキとアインをサマは警戒する。アインは自分が何者か思い出せないようでいたが、タダキは彼の素性を思い出させる。2人はALでビスキアの出身だと言う。そして人間に復讐する為に立ち上がるべきだと、アインを唆す。
ミドが戻ってこないことを案じたノーベンは副長代理のフラノを連れだって地下牢へやってくる。モニターの数字は「3」を示しており、床に乗らざるをえなくなってしまう。そこへジローの案内でゴドウがやってくる。彼は行政官たちが閉じ込められている事に興味を持ち、町の兵士すべてをここに閉じ込める事を画策する。ゴドウを追いかけてきたランは、町の平穏の為にも翻意を促すが聞き入れられず、彼は公然と反乱を仄めかす。
非合法のはずの酒場にはセナイとコバルがいた。サマは兵団のスパイであった。町に紛れ込んだタダキの行方をサマを問いただす。心の底では兵士たちを快く思っていないサマは一旦は口を閉ざすが、強硬な姿勢のコバルにタダキ達の存在を白状する。
地下牢のモニターは「2」に減っていた。隙を見てミドが抜け出し、牢の仕組みを知っている様子のゴドウを捜しに行く。残されたランはタリムが西側への穴を掘っていた事を咎められる。自らの母親としての立場と町長としての立場の板挟みにあう彼女は、娘のマイを西側から連れ戻してもらう事を条件に、ノーベンの代わりに牢に入ると申し出る。



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壁に穴が開きマイが入ってくる。穴はバクーの手によって西側からも掘られていた。ランは久しぶりの親子の再会を喜ぶ。マイが戻って来てしまった事で先程の約束は意味が無くなりノーベンは脱出の機会を失う。
牢屋の床とウルを置く台の模様が同じことに気づいたゴドウは、ウルを乗せる事でモニターの数を操作できるのではないかとの仮説を立てる。大量のウルが必要だが、ゴドウはそれを貯め込んでいた。サマはその事を責め立てる。彼にしてみれば信念をもった上での行為だった。セナイとコバルが酒場に入っていったのを目撃したレイジは心配して酒場へやってくる。この場所がばれているという事はサマが兵士たちと通じているのではないかと案じたが、ゴドウはサマの中に、兵士対する憎悪をうっすらと感じ取っていた。
やがてマイを追って西側からバクーとダムスもやってくる。ダムスは妻ユカリに会う為、バクーに感謝し自分の家を目指す。ノーベンとフラノの姑息な手段により、ラン達は床に囚われる事となる。亡き夫である前町長が命を賭してまで守ろうとした町と、罪を犯した息子とを天秤にかける事に思い悩むランをバクーが諭す。穴からスズとナトリがやってくる。地下牢の仕組みを知らされた彼らは騒然とするも、やがてモニターの数字は「0」を示した。ランとマイはゴドウの不穏な行動を止めようと町へ戻っていく。



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国境を越えようとし、また西側から侵入したとしてフミコ・ニコル・ユカリが地下牢へ連行されてくる。コバルはビスコに見張りを命じる。牢といいながら簡単に逃げ出せる事に奇妙さを感じる3人だったが、床から降りてはならないと警告を受ける。ただ、その理由はビスコにもわからなかった。意味も考えずにただ命令に従うその姿はまるでALの様だと揶揄される。
西側に戻りそびれて隠れていたスズが、床下が爆発すると仄めかす。一斉に床から降りる3人。ビスコの再三の警告にも従わずカウントダウンが終了する。奇妙な音がした後、地下牢と酒場を隔てる壁がなくなり、地下の天井が無くなっていたのである。事情を呑み込めないビスコは状況を報告する為に町へ戻っていく。天井が無くなった事から有害な光が地下にも差し込むようになり、意思とは無関係の行動を次々に発症する。彼女たちには、自らALであるという自我が芽生えつつあった。地上から地下の様子を見てユカリを助けに来たムゴルとダムス。町の事よりもユカリを案じるダムスの前にムゴルは器の小ささを露呈するが、図らずもムゴルは自ら身代わりにユカリを床から降ろす事に成功する。
大きなカバンを抱えて酒場に戻ってきたサマは、今までの店とは違う光景を目にする。カバンの中にはゴドウとセリが秘密裏に貯めてウルが入っている。盗まれたそれを取り戻すべくセリが地下を訪れる。



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牢に閉じ込められた住民達を面白げに見守っていたセリだったが自らも床の上に乗せられてしまい光を浴びる。自らのALとしての自我に戸惑いを感じるセリ。人間に忌み嫌われるALの暮らす町の存在意義について思い悩む。サマが牢屋の仕組みを使って兵士たちを閉じ込めると言う計画が持ちかける。地下にやってきたセナイ達をそれぞれの性質を駆使して床の上に乗せる事に成功する。無力なALを軽蔑していたが、その無力さを恐れて迫害を続けているのは誰あろう人間達であった。サマの裏切りに対しセナイは冷徹に受け応える。間もなくビスキアの町にはすべてを溶かす雨が降り注ぐと。それはかつてサマの故郷を消し去った雨であった。
タダキは、既に住民達の手で幽閉されえている兵士たちを見てほくそ笑む。彼は人間でありながらも協力者であったシムすらをも床に乗せ、人間への復讐を完全に果たそうとする。アインは復讐に懐疑的であった。彼はウルを台に一つ置く。タダキは自分が試されている事はわかっていたが、かつて自分の行為が町を滅ぼした事に負い目に感じていた。アインは住民達を避難させるために町に戻っていった。セナイ達はカウントが無くなる事を覚悟で床を降り、地下を後にする。カウントダウンが終了後、地下には空から雨が降り注いだ。
雨の止んだ後、地下にはゴドウとセナイの姿があった。ゴドウは近くにあった傘を手にする。上空から光がさしこんだ瞬間、ゴドウは手にしたものをセナイの身体に突き刺した。



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