随分と線引きの甘い地図 of シアターグリーン3劇場連動企画

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壁によって分断された東西ビスキア。西側にはバクーを初めとした面々がその日その日を楽しく暮らしている。対して東側は、井戸からとれるウルが少なくなり、空からの有害な光を遮る靄を生み出す事が出来なくなっていて深刻な問題となっていた。
東側に駐屯するERE軍の兵団は、住民達からは兵士だと思われているが実際は違う。ただそれを知るのは兵士の中でもたった数名である。この隊の隊長はしばらく前に何者かによって殺害されており、その真相を調査する為、新たに赴任したのがセナイ副長である。彼は住民に対し冷酷なまでの対応で臨んでいる。同じく赴任してきたばかりの行政官ノーベンは役場の地下室に妙な気配を感じた事から、兵士たちを動員して調査を命じた。
この日、東側では新たに町長を選ぶ町会が開かれ、前町長の妻ランが選出された。枯渇しているウルを何とかするそれ以上にランの頭を悩ませているのは、兵士や国境の壁に反発している息子タリムが暴挙にでないと言い切れない所だ。そんな彼女の予感は的中し、彼の部屋の床下に穴を発見する。
外から戻ったハッシは、行き倒れの男を連れてきた。西側に辿りつき、プラザを横切ってやってきたという。彼は自分が何者かである前に、人間を恐れているという言葉を残し、気を失った。



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西側の町でも靄が晴れかけて光が差し込み、光を浴びたフミコがバクーの背中を押して高台から突き落とそうとしたり、バクーが誰彼かまわず抱き着いたり、自分の意思では制御できない行動をとりだした。彼らは恐れをなしてウルを燃やす量を増やす事にした。
目を覚ましたアインは自らをALだと名乗る。ALとは忌み嫌われる想像上の存在としか認識していなかったハッシとニコルは、ノーベンの元を訪れ秘書官ミドからALについての話を聞く。かつて人間に逆らった意思をもつ道具の事。匿っていては自分たちの身も罪に問われる事を恐れる。家に戻ってみるとアインの姿はなかった。ハッシの家を出たアインは、タダキという男と出会う。彼はアインの事を知っているという。
駐屯所に国境監視兵のビスコとレイジが運び込まれた。彼女らは、西側から侵入してきたダムスを止めようとプラザの中に立ち入った所、身体に異変をきたしたのだと言う。彼らは医師ムゴルの不思議な力によって回復する。
アインの行方を追うハッシとニコルを見咎めるセリ。ALを匿っていたなどと言えない彼らは言葉を濁してその場を去るが、駐屯所から戻ったムゴルが、町にALが入り込んだと告げる。タリムの部屋の穴からランがタリムを連れて戻ってくる。彼は西側にいる妹マイを連れ戻すために地下を掘り進んでいた。が、それが失敗し、途方に暮れるのであった。



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西側ではセナイに裏切られ亡命を余儀なくされたシムとナトリが歓迎されていた。セナイの思惑を理解しているナトリとは裏腹にシムの怒りは収まる事はなかった。
セナイとコバルは地下室から逃げ出したタダキというALと、町の外からやってきたとする行き倒れのALの2体が接触する事を恐れて、ビスコとレイジに捜索を命じた。2人にはセナイ達の意図はわからなかったが職務である以上従うよりなかったが、町のどこを捜索してもそんな男たちは発見できなかった。
タダキとアインは西側の町にいたのである。そこで彼らをALだと認識しているシムと出会い、セナイ達兵士を憎んでいるという利害の一致から東側を急襲するという案が持ち上がる。その計画の場には、地下を諦め、外の国境を歩いて渡って来たと言うタリムの姿もあった。タリムが西側に来ている事をしらないマイは、バクーの手引きによって東側へ続く地下の穴をくぐる。戦争から無事帰還したが、自分の家へ戻れなくなったダムスもバクーが掘った穴を通り東側を目指した。
役場の地下に牢がある事を知ったゴドウは、町の兵士たちをそこに閉じ込め、一掃する考えを思いつく。兵士でありながらゴドウに協力するレイジだったが、その密談をビスコに聞きとがめられ、兵士である事の意義を説かれる。



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ビスコによって拘束されそうになったゴドウとレイジだったが、ミドとジローが現れ、ビスコの邪魔をする。が、彼女らにそのつもりはなかった。ただ空からの光を浴びた途端、ミドはビスコを力強く押さえつけ、ビスコはミドを締め上げた。
この光景を見たセナイ達は、ALの自我が目覚め始めている事に戦慄する。彼らは本来兵士などではなく、この町に暮らすALがその自覚を持たないように監視し、管理する為にここにいる。だがウルは無くなりつつあり、町の管理に限界を感じていた。そんなセナイの心情を巡って、離れた西側ではシムとナトリが口論をしている。人間とALの優劣をはっきりつけさせたいシムと、ALには一切の情を挟んではならないとするナトリ。2人は決裂し、ナトリは東側に戻ってセナイに報告する算段を探す。シムはタリムを焚き付けて東側兵士への憎悪を煽り、仲間に引き入れる。
ようやくの思いで我が家に戻ったダムス。ムゴルと再婚したユカリは既にそこにいないという現実を思い知る。彼の家はセリが倉庫代わりに我が物顔で使っていた。セリはニコルたちがALを匿い、また国境を越えようとした罪で告発する。
シムとタダキの計画に乗ったタリムは、そこでALがどういう存在であるかを知る。そしてまた、自分自身や、町の住民達すべてALだという事も



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東側に戻ったナトリはシムが西側から攻め込んでくる事態を報告する。戦う事に躊躇するセナイであったが、国境を封鎖する事でALの侵入は阻めるというナトリの言を受け、兵士たちを伴い、町の外へ向かう。
国境を越えた罪で拘束されたユカリを救う為町へ出たダムスはムゴルを見つける。ダムスを警戒するムゴルであったが、2人はユカリを救う事に関して意見は一致し、地下牢があるという役場に向かう。ダムスが出て行った家ではセリが途方に暮れている。隠してあったはずの大量のウルが持ち出されていた。そこへ夫ゴドウがやってくる。ゴドウが持ち出したと思い込むセリは、夫を強く責め立てるが、ウルの紛失に関して一番衝撃を受けているのは当のゴドウのようであった。
ランはマイを連れて地下から戻って来ていた。しかし団欒をしている暇はなく、住民を巻き込んで兵士に刃向おうとするゴドウの暴挙を止めようと広場へ向かう。しかしその時、広場の地中から不気味な音がし、巨大な穴が出現したのである。穴からは地下牢が伺え、ニコルやユカリの姿があった。混乱の最中、サマはカバンを抱えて酒場へ戻ろうとしていた。そこへゴドウが声をかける。カバンの中は、ダムスの家から持ち出した大量のウルであった。ゴドウは自らの計画をサマに打ち明け、協力を願う



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既に住民達の自我の目覚めは押さえつける事が不可能になっていた。セナイは町を放棄する事を決定する。空から大量の雨を降らせ、町中のALを処分する。かつて人間が何度も実行してきた手段である。人間達のやり口を知っているアインはマイに住民を避難させるように伝える。全てを溶かす雨が降る事を知り、住民達は混乱する。
闇雲に命令に従ってきたビスコは兵士としての存在意義に疑問を持つ。自己中心的な行政官ノーベンは「尊厳」というものを説き、住民達の西側への避難を黙認した。彼らは人間達に踊らされていた事に静かな怒りを感じている。彼らを処分する為に、外へ出るよう促すフラノの身の自由を、ビスコとレイジは自らの意思で封じる。
混乱の最中、タリムとマイは再会を果たす。ランは2人に西側へ逃げるように諭し、自らは町長としての責務で、最後までのこると告げる。ランは東側を棄て西側に移り住むように提案するも、半数の者は、逃げようとしなかった。
忌み嫌われるALである以上、今後も迫害は続き、恨みばかりを残していくより滅びを選ぶべきなのではないか。しかしアインは言う。生き延びて逃げる事もまた戦いであると。
そして雨が降り始める。ジローの手引きで住民達が避難したのはタリムが掘った穴であった。雨がやんだ町では、国境の壁が溶けてなくなっていて、東西の町は再び1つとなった



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