【81】 三輪「違うんだ。私はさっきの私だ。見た目は確かに、老け込んだかもしれないが、こういう体質なんだ。ウロウロしてると老け込むんだ」 早希「智絵さん、私、思うの。ひかりの園っていう名前は本当に素晴らしいって。この子はね、神様の祝福を受けた子なの」 智絵「同時に喋るな!」 早希「何度も言うように、あの子には大きなる力が宿ったんです」 智絵「目を覚ましなさい」 早希「目覚めるのは、智絵さんの方です。目覚めよ!」
【82】 水本「俺が?何かしましたかね」 三輪「…そうかそうか。そうやって、あの時も、私を殺したんだな!」 水本「いや、生きてるし」 三輪「そうなんだよね!おかげさまで!」 水本「ちょっと意味が分からないんだけど」 三輪「私にはまだあと10年残ってたんだ!返せ!私の残りの10年を!」
【83】 智絵「この数日間、気が狂いそうだったわ。自分が衝動的にした事は許されない事だし。でも後悔はしてないし、申し訳ないとも思わない。でも、死んでたはずの子が生き返った事実を受け入れるのは、どうしても頭が追い付かなくて。今はこんな馬鹿げた話も信じるしかないじゃない。アナタが嘘を言っているとして、そんなのでも信じれば、少しは気持ちが落ち着く」 三輪「アンタ、心が壊れている」 智絵「いいえ。壊れてるのは身体なの。壊されたの」
【84】 聖美「待って。私、あなたの顔に見覚えもないんですけど」 佳織「…やっぱり、整形したとか?」 智絵「とんでもない執念を感じるわね。おそらく、彼女は、アナタから一方的に離れて行った。どこかで再会した時、拒絶されないように」 三輪「別人に成りすましてまで、聖美を追いかけてきたのか」
【85】 水本「海外にいたんだってな」 聖美「旅行会社で働いてる」 水本「旅をするのが趣味だったからな。覚えてるか。まだ結婚前に、海外旅行したな。パスポートを無くしたお前を、置き去りにして俺だけ帰ったな。どうしても外せない仕事があって」 聖美「ごめんなさい。覚えてない。覚えてないけどアナタ、ひどいね」
【86】 佳織「三輪さんのお孫さんとの、痴情のもつれ的な?ま、つまり私か?」 日野「もはや他人事のように聞こえるな。じゃあ何か?アンタと水本の揉め事に巻き込まれているというのか。いい迷惑だ」 佳織「全くです」 日野「本当、他人事なんだな」
【87】 早希「一昨日は珠の様な赤ん坊。それが今や、ひかりの力によって、急激な成長を遂げました」 日野「アイツ何言ってんだ」 早希「この奇跡を起こした聖なる哺乳瓶!今、これを非常にリーズナブルな価格で皆様にお分けする事ができます」 木内「…壺」 日野「違う!哺乳瓶!哺乳瓶!」
【88】 木内「買います!」 日野「やめるんだオバサン!」 早希「哺乳瓶コール!哺乳瓶!哺乳瓶!」 木内「哺乳瓶!哺乳瓶!」
【89】 三輪「土屋さん。私には時間がない。再び召されるのも遠くない。せめて、アンタの息子として、少しでも愛情を頂けませんか」 土屋「成程。それも、プレイの一環というわけですか」 三輪「そうじゃない!私の為ではなく、この子の為に」
【90】 三輪「土屋さん。…お父さん、とお呼びしていいですか」 土屋「え、困ります」 三輪「…いや、敢えてそう呼ばせてください。お父さん」 土屋「困ります」 三輪「…アンタの子供は亡くなった。代わりに私が命を新たに繋いだ」 土屋「困ります」 三輪「お父さん」 土屋「困ります」
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撮影者:佐藤淳一 ※この画像の著作権は団体並びに撮影者に帰属します。