【71】
フミコ「今、再びのパニック！ユカリさん、戻って」
ムゴル「後ろは壁だ。これ以上、離れようがないぞ。さあ、どうする」
ユカリ「か、壁にめり込むのか、私」
【72】
スズ「ユカリさん。こうやって二人の旦那さんがそろっちゃったからには、結論出さないと。この人たち、ずっと争い続けますよ？」
ユカリ「…私にも、どうしたらいいか、わかりません」
スズ「まあ、そうですよね。別に、誰が悪いってわけじゃないんだし」
【73】
ムゴル「さっきの地鳴りで、壁と天井が崩れたんだ」
ニコル「崩れたというか、消えてなくなった」
サマ「そして開店以来、初めての賑わい。…ま、いいか。広くなったし。そっちにもテーブル出せるし」
スズ「え。受け入れ方早すぎません？」
【74】
ユカリ「え、私？…ようやく抜け出したばかりなのに？」
ダムス「俺が行く。お前は、地上に戻れ。ここから離れろ。いつまた穴が開くかわからない。町から出るんだ。俺は大丈夫。皆でここを抜け出して、すぐに追いかける」
ムゴル「また格好つけやがって！お前ばかり、株が上がってんじゃないか」
【75】
ニコル「サマさん、あのカウントがなくなったら、町に穴が開くんです」
サマ「そうなんだ」
フミコ「そーなんだじゃないでしょ！だから私達必死になってるんでしょ」
【76】
セリ「単刀直入に言います。私から盗んだ物を返しなさい」
サマ「いくら私が後ろめたい生活をしてるからと言って、人様の物を」
セリ「わかってるんです。夫が口を滑らせたそうね」
サマ「知らなかったわ。アレはアナタの物だったの？」
セリ「そうですよ。この町の物は、一つ残らず」
サマ「その思い上がり、叩き潰してやりたいわね」
【77】
フミコ「マズい、光が来た。パニックの予感」
セリ「きちゃったー！ここでこの感じきちゃった！」
フミコ「ただでさえ狭いんだからアンタ！場所をわきまえなさい！」
【78】
セリ「この先、私たちは、日の注ぐ外を歩くことができず、屋根のある所で一生を終えるしかないのですか？」
ムゴル「思うに、私達の身体は光に蝕まれているのではない。元々、持って生まれた習性なのかもしれない。ウルが生み出す靄で覆い隠して、我々は人間らしく暮らせていたのかもしれない」
【79】
ニコル「でも、自分自身もＡＬだったと」
セリ「…だったら、この町は何なんです」
ニコル「やっと、私と同じ疑問を持っていただけたんですね」
セリ「かつて人間に害をなして、忌み嫌われるＡＬだけの町とは。人間にとって存在する意味があるんですか？」
【80】
サマ「力を貸してくれますか？あの兵士達から、自由を勝ち取る為に。皆さんがその床に縛られた様に彼らを閉じ込める事ができたら」
