【91】
セリ「人によって生み出された私たちが、もし人の手によって葬られるのも、それは仕方のない事ではありませんか」
ダムス「アンタはどうして、受け入れられるんだよ。俺達は、ただの道具で終わりたくない。感情も人格もある。愛する家族もいる」
サマ「アナタはただ、考える事を放棄してるだけでしょう」
【92】
サマ「さ、行きなさい。早く。 ぐずぐずしないで」
フミコ「え?あ。え?え?あ。あ。はあ。いいのかしら」
ダムス「やったな!皆」
―ダムスがフミコ、スズ、ユカリに触る。
サマ「何やってんのアンタ、バカじゃないの?ムゴル、彼らを起こして」
【93】
セリ「人間が、何故ALに情けをかけるの」
サマ「私はALの暮らす街で、大勢のALに育てられらた。彼らが何者だろうが関係ない。…人間だの、ALだの、そんなものは気にかけた事もない。誰かが勝手に線を引くから異質な視線が生まれる」
ムゴル「…アンタの行為は、人間への裏切りじゃないのか」
サマ「私にとって、人間とは恥の事です」
【94】
ムゴル「ユカリと暮らしたこの数年間、常にお前の陰に怯えていたよ。俺はクズだな。お前が死んでいたらいいと、心底願っていた」
ダムス「気持ちはわかる。誰だって、日常を壊されたくはないからな」
ムゴル「憎いな。戦争が」
【95】
スズ「だから?結局どうすんだもったいぶりモテ女」
フミコ「表現」
【96】
ユカリ「直ぐに、答えなんか出せません。でも、今は生きる為に、こちら側へ来たんです。お互い生きていたからこそ、またアナタに会えた。当然の事の様だけど、毎日はその積み重ねで。自分がどんな存在であろうと、その営みを簡単にやめるわけにはいきません」
ダムス「…俺は、その答えで十分だ。死んだら何もならない」
【97】
サマ「再び故郷がなくなるなんて。持って生まれた運のなさが嫌になる」
アイン「それでも私は、人間を憎んではいけないと思う」
サマ「それは理想に過ぎないのかもしれない」
アイン「そう思う」
【98】
アイン「…君達、まだ居たのか。
マイ「母さんが、最後まで残るって。私達に、先に行きなさいって」
タリム「そうか。この柵が邪魔だったんだよな」
【99】
アイン「一人でも多く、生き延びなければならない。これは目に見える争いじゃない。今は虐げられても、最後に優位に立つのは、私達だ」
タリム「そうか。でも、別に。俺は今のままでいいんだけどな。何かに優越感持つ時点で、人間と一緒だろ」
アイン「…そうだな。…かといって、本当の平等があるとも思うな」
【100】
―タリムが西側の小屋から出てくる。
タリム「水、止まったか?………あれ?…あの人は?」
マイ「もう、心配させないでよ!」