【21】
ダムス「俺は監視兵をどけようとした。軽く触っただけだ。そしたら二人とも、座り込んじまった。かく言う俺は、ムゴルにやられた」
コバル「これはＡＬ同士が接触した際の生体的相性を表しているのかと」
セナイ「もっと噛み砕いて言え」
コバル「もっとわかりやすい例えがあったのですが、今、度忘れしました」
【22】
コバル「用もないのに国境をうろつかれては困る」
セリ「用はあります。頼りにならない監視兵の代わりに、西側に心が飛んで行きかねない女性を引き留める重要な役目が」
コバル「口には気を付けてください。アナタを拘束するのは気が引ける」
【23】
ユカリ「アナタが戦死したという手紙をもらって、後を追おうとしました。このプラザの真ん中で大の字になって寝たけど何も起きなかった！」
セリ「…ああ、恐ろしい」
ダムス「それだけじゃ…死ねないだろ」
ユカリ「それがせめてもの殉じ方、その程度の勇気しかなかった私め！」
【24】
フミコ「バカ。笑いごとじゃないのよ。こっちは真剣なんだからね」
スズ「いいなあその愉快な力、私も欲しい」
フミコ「人の気も知らないで。私だってね、好きでやってるわけじゃないのよ。体が勝手に反応しちゃうんだから」
【25】
マイ「聞いてくださいよ。ほら、靄が薄くなってきたから、とうとうこっちの皆、身体に異常が」
スズ「いやいや。異常っていうか」
セリ「どうなったんです。見た所、外見に異変は…、異変は…」
フミコ「外見に異変は全く持ってありませんね。ええ。ああ。ええ」
【26】
ダムス「…え、急に力が」
コバル「立ち上がりました」
セナイ「見たか。あの女は何をした。……光は？」
コバル「いえ、空からはまだ観測できません」
【27】
セナイ「そこの女」
フミコ「はい」
セナイ「若い女！」
スズ「はい」
セナイ「それ以外の女！この女に触れてみろ」
マイ「え、…触るんですか」
【28】
セリ「でもね、フミコさん、東だ西だと言っても、元を糺せば私たちは同胞なのですから。スズさんの行為は正しいと思うんです」
スズ「私、炉にくべようと思って、でもこれを手にした途端、身体が」
フミコ「もう持つな！ウルから離れろ！」
【29】
バクー「あれ？やばいやばい！このまま東に入っちゃうよ私！」
セナイ「その男を連れたままの入境は認める事は出来ない」
コバル「しかし、この男、離れようとしないので、…離せ！」
【30】
ノーベン「一大事だ、例の地下に閉じ込めてあったＵＳＱの兵士が脱走した」
コバル「承知しております。たった今、報告をうけました」
ノーベン「表沙汰になれば私の責任問題になりかねん！早く捕まえろ！」
コバル「これより、総力を挙げて捜索に」
ノーベン「お前の目は節穴か。お前の横にいるその二人だ！」
