【81】
ハッシ「アンタは行政官だ。今度は人間を差別するのか?」
ノーベン「そんな事はない。仲良く。皆、仲良く」
バクー「誰だってな、自分と異質なものには脅威を感じるんだよ。そりゃ建前は仲良く何ていうがね、実際の所、管理するかされるかの関係に過ぎないんじゃないかね。そうしてなきゃ、怖いんだよ」
【82】
ゴドウ「兵士がいなくなるんだ。逃げる必要なんてないだろ」
ハッシ「妻を巻き込まないでくれ」
ゴドウ「多少の犠牲が出た所で、それがどうした」
ハッシ「お前は何様だ!お前の理想がどんなものか知らないが!人を道具の様に使い捨ててまで成し遂げた先に、何がある!」
ゴドウ「これは何の真似だ!」
【83】
ラン「アナタは間違っている。口では立派な事を言って、なのに自分の手を汚さないなんて。誰かを巻き込むのはやめて」
ゴドウ「どうしてアンタらはのほほんと暮らしていられるんだよ」
バクー「刃向うだけが戦う事じゃない」
ゴドウ「刃向わなきゃ、生きている実感もないよ」
【84】
ハッシ「ちょっとランさん、町の皆より先に西側に行くつもりですか?」
ラン「それは許されない事ね。わかった、とりあえず戻る」
マイ「抱き合っているのは許されるのかしら」
ハッシ「バクー。上半身だけ東側に来ちゃってるぞ」
ラン「いい加減に離してよ。娘の、前ですから。火が付いちゃうから」
マイ「見たくない。バクーさん、やめて」
【85】
バクー「生き方を自らの意思で選択できる。それが誰しもが持つ、尊厳というものじゃないですかね。人間であろうと、ALであろうと」
ノーベン「どこへ行くんだ」
バクー「だから、私も西側へ行くんですよ」
ノーベン「え?いや、しかし、お前は既に」
バクー「一回、地下を通って、そっち側に行くだろ?で、このプラザを通ってまた西側へ逃げるんだよ。忙しくなってきた」
ノーベン「えーと。どうしようか。誰か彼を止めた方がいいのでは」
【86】
ミド「…閣下。今、再びこうやって姿をさらす事をお許しください」
ジロー「こんな奴に謝る事なんてない。アンタに見捨てられて、彼女は存在意義を見失ってんですよ」
ノーベン「うるさい。お前ごときが、私たちの間に立ち入るな」
【87】
ジロー「親父は悩みました。自分の技術が、人の欲望を左右する。そしていつか、井戸を掘らなくなりました。もちろん、町中の人から非難された。非難されたまま弁解もせずに、病気で亡くなった」
ノーベン「何が言いたい」
ジロー「あれ、これ何の話ですか?」
ノーベン「知らないよ!お前が勝手にしゃべり始めたんだろ!」
【88】
ミド「…閣下。泣いていらっしゃるのでしょうか」
ノーベン「私は、どうやってこの町の行政官になったのか、思い出せない。…だが、お前との記憶はたくさん思い出せる」
ミド「私もでございます」
【89】
ノーベン「…ミド、私を軽蔑しないのか」
ミド「ホッとしております。私がALならば、父親同然の閣下は、やはりALに決まっております。嬉しく思います」
ノーベン「私も、嬉しい」
【90】
ミド「炉が直れば靄が生まれます。もう、逃げる必要はないんです」
フミコ「その靄が危ないって話をしてんじゃないか」
スズ「上手く説明できないですけど、水で私達が、わーってなるんです」
ミド「想像以上に説明が下手!」