【91】
愛実「痛い！尻が急に割れた！」
結有「もうその辺で勘弁してやってくれませんか。姉は悪くないんです」
ミヨ「そうか。自分が死んだ理由じゃなくて。彼の事が気になってたのか」
結有「…ミヨさん」
ミヨ「大丈夫。今は空っぽ」

【92】
公彦「…伊緒、聞こえるか」
イオ「聞いてるよ」
公彦「黙っていた事があるんだ。…お前が母さんだと思ってた女性は、本当の母親じゃない。私は、未だに、独身なんだ」
大谷「モテなそうだもんな」

【93】
公彦「この場所で大切なものを２人失った。やりきれんよ。あの時、手を伸ばした彼女を救う事ができなかった。…赦してくれ」
キコ「ハムくん。気にしなくていい。アナタが悪いんじゃないだ。私は、月をすくってみたかっただけ」
公彦「…何だろうか。懐かしい感じが」

【94】
イオ「お父さん。ただいま」
公彦「おいで。伊緒」

【95】
神宮「…池だ」
愛実「…池？…不思議ね。池に沈められた彼女たちは、どこへ行ったの？」
神宮「やっぱり池田！あいつ、やっぱり池田！」
愛実「どうしたどうした」

【96】
愛実「あれ以来、アナタの霊能力なんて信じないし、親としても。私に何か必死に伝えたかったと思うのよ。だから、ここで。あの日、あの子は何を想って死を選んだんだろうって」
結有「…………じゃないんだ」

【97】
愛実「真っ当に暮らしていけるわけ？これから」
大谷「死んだ人間が生まれ変わるのかどうかはわからない。だけど生きてる人間は死んだ気になって生まれ変われる」
愛実「早く仕事と住む所見つけて。それとまず。母さんと結有のお墓参り」
大谷「そうだな」

【98】
大谷「結有」
結有「え？…あ。独り言か」
大谷「全く。親不孝者だ、お前は」
結有「ごめんね」
大谷「謝って済む事じゃないからな。命を何だと思ってるんだ」
結有「え。父さん、私の声、聞こえるの」

【99】
大谷「粘土で猿みたいな奴作ってきてな。アレが思いの外、傑作で」
結有「そのおかげで家族の関係がこじれちゃって」
大谷「あ、これいいじゃんって思って」
結有「父さん！聞こえてるんでしょ？私を見て、ちゃんと応えてよ！」
大谷「それを元にこれ作って売ったんだ」
結有「きこえてないのかい！」

【100】
結有「私、ここで首つったんだよ」
キコ「知ってる。でも、何で」
結有「私はここに縛り付けられたままでいい。そうすれば、マコトさんとずっと一緒にいられる」
キコ「怖ぇ」