【41】
祐子「どうして、私はアナタの為を想って賛成してるのに」
光孝「その気持ちは嬉しいが、それが却って私の首を絞めているんだ」
祐子「そうね、それは間違いない」
光孝「だったら、次は反対に投票しろ」
祐子「どうして、私はアナタの為を想って賛成してるのに」
光孝「こんな早いサイクルのデジャヴってあるかなしかし!」
【42】
小倉「…本当にアンタ達は、自分たちの事しか考えてないのか。少しでも父親の事を偲んでいるか?この絵図に込められた意味、わかりますか」
光孝「知らない。考えた事もない。阿倍さん」
阿倍「これは水無瀬絵図と言います。私の知る限り…の事は以上です」
伊勢「頑張れ、画商!」
【43】
祐子「知ってます。だから清原さんが休んでいる時は、私が毎日コロッケを」
在原「何でもお嫁さんの作るコロッケがどうしても我慢できなかったらしく。その時期は毎日、買いに来て頂きました」
祐子「…あ。そう。そうですか。…直接言ってくださればいいのに」
【44】
紫「…兄さん、覚えてる?父さん、手に入れたカブの後ろに兄さん載せて、私をカゴに乗せて。よく海まで行ったわよね」
光孝「覚えてない。お前、覚えてるか?プールでおぼれたお前を助けに入って、結局自分が溺れて大騒ぎになったな」
紫 「覚えてない。母さんの誕生日を毎年忘れて毎年大喧嘩してた事とか」
光孝「覚えてない。前の日に飲み過ぎて私達の披露宴に遅れてきた事が」
祐子「覚えてない」
光孝「お前は覚えてろよ」
【45】
光孝「…こんな醜い姿をさらす事が、本当の親不孝だと今気づかされた。私は、父親の跡を引き継ぎ立派な人間になって見せる。勿論、一人じゃ無理だ。力を貸してくれ。まだまだ未熟だが何とか助けてほしい」
【46】
紫「えっ!?子供!?」
光孝「えっ!?俺の!? 」
小倉「えっ!?俺が!?」
祐子「えっ!?違うの!? 」
在原「えっ!?私に聞きます!?」
祐子「えっ!?息子でしょ!?」
小倉「えっ!?俺が!?」
【47】
清原「マイナスを持っているアナタは反対票を入れないと。奥様も阿倍さんも、賛成に入れてしまった。アナタが最後の希望です」
伊勢「…わかってる。最後の希望。私が。…よし」
【48】
阿倍「だって、君と20年ぶりに会うはずだったんだから。あれ、違うかな」
紫「今日初めてまともな事言いましたね」
小倉「……そうでしたか」
【49】
和泉「…お話の途中申し訳ないですが。反対票の1枚は、1点の札でした」
【50】
光孝「全くのゼロになっちゃったな」
和泉「全員で手を取り合えば、また見える景色もあるんでしょうな」