【91】 尚雄「…お前、何を飲ませた」 千夏「え?ただのお薬を」
【92】 實智子「旦那さま、ありがとうございます。このご恩は一生忘れません」 伸年「忘れてくれて構わんよ」 實智子「『とでも言うと思ったかね!』の顔も一生忘れません」 伸年「それは本気で忘れてくれ」
【93】 伸年「これは?」 紅林「サージのお守りですよ。もってると、ちょっと元気がでるんです」 伸年「…『胡蝶蘭』『官能姉妹』『真珠貝』『重役室』『変態紳士』…何ですかこれ」 佐地「私が担当している、五反田の風俗店の名前ですよ」 紅林「ちょっと元気になったでしょ」 伸年「…ああ、はあ」
【94】 保彦「もしもし、ああ、もう結構ですよ。常務は大阪にはいけません。二宮を解放してやってください。もちろん、無事でしょうね」
【95】 保彦「住む所を探さなければならないな。ここはそのうち人手に渡る」 清美「そうね。でも。千駄ヶ谷の安アパートでも構わないわよ。私は」
【96】 尚雄「…犯行を…認めたんですね。……今日にも逮捕だと」 宇田川「……終わったのか」 尚雄「…終わったんですよ」 宇田川「…その終わりを、新聞で知るしかないなんてな!」
【97】 清美「―はい、はい。はあ、そうですか。はい、わかりました。二宮を気遣って父さんが運転したんですって」 教子「大丈夫からしら。二宮を雇って以来、運転なんかした事ないのに」 清美「だから帰りしな、大井町駅前の電話BOXに突っ込んだらしいわ」 實智子「結果的に、病院に寄られたんですね」
【98】 宇田川「…また犯人を、捕まえられなかった」 紅林「俺たちの立場では、もう、捕まえる事すらできない」 尚雄「承知の上、でしょう?…でも、人質は無事だった」
【99】 由子「たまたまこの人に見つかっちゃって。随分と抵抗するから。だから縛りあげて、しばらくそこにいてもらったの」 千夏「…誰…ですか、これは?」
【100】 柴田「…はい。…はい。ああ、そうですか。お嬢様、戻ってこられたんですか。早いですな。何せ、お嬢さまはまだ玄関先におりますもので」
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撮影者:佐藤淳一 ※この画像の著作権は団体並びに撮影者に帰属します。