【11】 伸年「どうしたんだ。ホッとした顔をして」 教子「…いえ。世の中には、迷惑ないたずらをする人もいるものだと」
【12】 由子「…なんですかね。険しい顔した人たちが」 千夏「お客様の多い家なんでしょうね。大企業の常務ともなると」 由子「でも、宅配業者の恰好してます」
【13】 宇田川「警視庁捜査一課特殊犯係・SITの宇田川です」 實智子「エス・アイ・ティ」 佐地「同じく佐地です。アイツは紅林」
【14】 紅林「…もしこんな事、バレたら」 佐地「勘違いするなよ金吾。バレなくても、俺たちは終わりなんだよ。覚悟を決めろ。もう後には引けないぞ」
【15】 伸年「今から大阪に行く」 教子「どういう事なの」 伸年「社の連中には俺が旅行していると見せかける必要があった。奴らの目が離れた隙に、大阪に点在している株式の買収するんだ」
【16】 伸年「警察?警察が何のようだ?」 實智子「ですから、旦那様の。旦那様!?なぜここにいるんです?」 伸年「驚いたかね。実はな、旅行というのは真赤な嘘だ」 實智子「いや、そんなのは全然驚きませんが」 伸年「…ああ、そうなの。何だか拍子抜けするな」
【17】 清美「弘を引いた車、そのまま逃げたらしいの」 尚雄「…そうでしたか。…実はそんなことより、…常務が」 清美「そんな事よりひき逃げよ。弘は重症なのよ」
【18】 尚雄「…誘拐された人が、何で、紅茶を入れてるんです」 柴田「それは下山総裁の事件に並ぶ昭和ミステリーの一つだがな」 尚雄「家政婦としてこき使う為に誘拐したとでも?だったら、給金まで頂けるうちの家内の立ち位置がよくわかりません」
【19】 教子「どこへ行かれるんです」 伸年「大阪だ」 清美「微妙に聞き間違えてない?大崎よ。大阪じゃないの!」 伸年「聞こえてる!大阪なの!病院には行かない!」
【20】 由子「…もしかしたら私、家政婦じゃないような気がするんです。家政婦とかしている場合じゃないんです。…帰ってもいいでしょうか」 千夏「勝手に帰ったら怒られますよ。…無断欠勤の常習なんですね」
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撮影者:佐藤淳一 ※この画像の著作権は団体並びに撮影者に帰属します。