【31】 教子「…お聞きしたいんですが。誘拐と一口に言っても、実際、どのように連れ去られるのですか。…いえ、夫が酷い目に遭ったのではないかと」 實智子「…奥様。まさか」
【32】 柴田「これは常務の業務命令なんだ。彼女と引き換えに三千万円要求する。きっとそれが常務が我々に期待していることなんだ!」 尚雄「部長!落ち着いてください!」
【33】 實智子「しかし、この家にはございませんよ、くろろろろろホルム」 教子「ロが。少ないわよ。二つ。くろろろろろろろホルムよ」 實智子「代用できるものでもあれば」 教子「お酢とみりんでいいわよ」
【34】 伸年「アレが無いと、私は財産のすべてを失う」 宇田川「金額で測れる価値ではありませんが」 伸年「三千万だ。必ず取り戻してくれ」 紅林「きっぱりと図っちゃいましたね」
【35】 伸年「もしもし、江島ですが。…お宅は…ああ、話は聞いた。いいか。お宅があいつに何をしようが、私にはもう関係ない、だから別に謝ってもらう必要もない。もうかけてこなくて結構だ」
【36】 清美「あの子の身体の価値が一千万だっていうんですか?安いです!話になりません!考えなおしてください」 紅林「―わ、わかった。もう一度、考え直す。また連絡する」
【37】 伸年「やめろ!さっきから何の真似だ。臭い!何か酸っぱい!何これ!」
【38】 佐地「いや、どうにもこうにも、誘拐された被害者とこの家族の関係性がまとまらん。被害者には教子という妻がいて、その姉には清美、清美の旦那が保彦。ここまではいいな?」 紅林「ただ、見た目に随分と違和感がありますがね。54歳でしょう?」 佐地「清美さんは…60近いという事になるな」
【39】 由子「…今の電話、聞きました?」 千夏「…聞こえ…ませんでしたよ。私、何も聞いてません」 由子「…監禁って聞こえましたよね」 千夏「…そうでしたか?そうは聞こえなかったけど」
【40】 保彦「ああ。横になって絶対安静が必要なんだ。頼む、そこで川上さん。もし常務を見かけたら、どこか目立たない部屋にでも寝かしておいてほしいんです。これは、家族すら知らない秘密なんだ。あんな身体でこれから出かけようとしている。間違いなく命を縮める」 千夏「そういう事ですか。わかりました」
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撮影者:佐藤淳一 ※この画像の著作権は団体並びに撮影者に帰属します。