【1】
アリス「あった。ここよ。同じ綴りを見つけたわ」
サイモン「配列の鍵を見つけたか。…メモしてくれ。博士!」
ソール「それが今日の鍵か。モニカ!すぐに設定しろ」
【2】
アリス「思い出せないような事は、重要な事ではなかったと。そんなもの世の中に掃いて捨てる程あるはずね」
シーラ「そう。掃いて捨てる。あ。思い出した、ホウキだ。私が愛用していたホウキの柄が見当たらないんでね。10年以上も使ってる」
ロドニー「ホウキなんて、代わりがいくらでもあるだろう」
【3】
セス「連中はまだ諦めていないのか」
スコット「特にソール博士がしぶとくて。なかなか意見がまとまらないのだ」
シド「研究熱心な人なんだよ」
スパイク「軍の予算でしょ?無駄遣いだと思うけどな。」
【4】
スコット「ナチのスパイが、2人」
ロドニー「本人の特定にまでは至っていないが、アトリーはここまでは掴んでいたらしい。これの真偽を確かめるために、こうやって久しぶりにブレッチリーまで来てみたが。当のアトリーはどこだ?」
【5】
アリス「新緑。って。そんなに気持ちいい?私にはわからない」
グレース「誇るかのように生き生きとした生命力に惹かれるんじゃない?」
ドーラ「目に映る緑が、気持ちいいなーとか。そういう事でしょ」
ビッキー「こもって研究ばかりしてる人だから。季節だとか、自然だとか人として感じる事の出来る悦びみたいなのに、興味がないのよ」
アリス「気持ちはあるわよ。ただ、わからないと言ってるの。新緑」
【6】
ビッキー「私が外で働く事が気に入らないんだわ」
アリス「そんなに社会に貢献したいの?」
ビッキー「祖国の役に立ちたいってのは、当然の感情でしょう?」
アリス「アナタはアナタの人生を達成すればいいんじゃない?」
ドーラ「この戦争で、ビッキーの愛国心に火が付いたのよね」
ビッキー「お二人のように、男を黙らせるだけの才能と実績を持ってません」
【7】
サリー「ドーラ、この暗号文、どういう事?解読済になってないけど」
ドーラ「処理済の印は……ないわね。…解読してないって事?」
サリー「アナタの机から出てきたのよ。これ。どうしたの」
ドーラ「どうしたのって言うか。わからないけど。何が書いてあるの?」
ビッキー「未解読なんだから、わかるわけないでしょ」
【8】
グレース「ああ、シド。ミネルバを使いたいのだけど」
モニカ「どうしたの?」
アリス「未解読の暗号が発見されたの」
シド「今、ちょっと厳しいな。調整中っていうか」
アリス「文字の配列から似た構文を探すしかないのでは」
【9】
サイモン「確かにドイツには勝った。それは英国の勝利には違いない。でも、暗号解読という分野で、私達は勝ったと、本当に言えるか?」
ビッキー「言えるでしょ。だって。勝ったんだから」
サイモン「我々が戦っていたのは、味方だ。このハット4は、チューリングのいるハット6には遠く及ばなかった」
【10】
サリー「あなたも、ソール博士のおもりで、大変でしょう」
モニカ「学者ってのは、自分の研究にしか正義がないから」
ビッキー「戦争が続けばいいなんて。どれだけの犠牲者が出たと思ってるの」
モニカ「ある意味、自分の知的好奇心に正直なだけなのかもしれないわ」