【11】
グレース「これさえ廃棄してしまえば、明日にはすっかり忘れている」
ソール「この行為が、アンタにとってどういう価値がある」
グレース「ソール博士の探求心を、摘み取ってしまうのは心苦しいじゃないですか。サイモンも、アナタの事を、無能だなんて思ってない」
ソール「思っている。あいつだって、自分がチューリングに劣っている事を棚にあげて、私をいたぶっているんだ」
【12】
モニカ「意図的に壊したって事?…え、誰が」
スパイク「え、俺だけど。だって。解体するんでしょ?だって、サイモンが」
シド「馬鹿野郎。最高責任者はアトリーだ。勝手な事するんじゃねぇよ」
モニカ「今、博士に報告したら、きっと発狂する」
スパイク「部品、捨てちゃったよ」
【13】
ソール「我々は歴史の闇に消える。いや、私がどうこうじゃなく、君らや、あの憎たらしい数学者や、多くの職員の、知の結晶なのだ、このミネルバは。彼女の可能性をもっと拡げてやりたい」
シド「…どうする?ぶっ壊れましたとか言えねぇぞ」
【14】
サイモン「それは、いつのものを使っている?」
アリス「この鍵は、ナンバー256」
サイモン「日付は?」
アリス「1941年6月1日のもの。この日の鍵を仮定してみたの」
サイモン「そんな古いものを使うだろうか」
【15】
サイモン「いや。驚くべきことに、我々になじみのある名前だ」
ビッキー「名前?」
サイモン「アトリーだ。ここを読むと、アトリーの綴りが出てくる」
ドーラ「…アトリーが?」
サイモン「いや。結論から言うと、わからない。可能性の一つだ」
【16】
ロドニー「仕事熱心なのは感心する。だがそうしたところで、どこを目指す?」
サリー「私はこの仕事に誇りとやりがいを持ってるんです」
ロドニー「夫婦一緒に、同じ職場では働けないのが、海軍情報部の規定だ」
サリー「それはわかってます」
【17】
シーラ「どこも旦那も似たようなもんだよね。私もね、喧嘩が絶えないよ。今朝、ごみを出すのが遅くなって。ちょうどゴミ収集車が家の前を通り過ぎるところだったから、すぐ追っかけようと思って」
ドーラ「あら。どこかで聞いたような話だわ」
シーラ「『まだ、間に合うかしら』っ聞いたら『すぐ飛び込め!』って」
ドーラ「で、どうなの。飛び込んだの?」
ビッキー「飛び込むわけないでしょ!」
シーラ「飛び込んだんだよ!」
【18】
サリー「もし本当だった場合、少なからず犠牲が出る。私たちのせいで」
ビッキー「たちってのはやめて。それより。アトリーの名前が気になる」
ドーラ「それ、どういう事?」
ビッキー「何か、嫌な感じがする。とにかく、この暗号は、アナタが責任を持って処分してよ。貴方が隠してたんだから。責任問題よ」
【19】
モニカ「紙をくっつけたいの?よかったらこれ使ったら?」
アリス「これ何?」
モニカ「セロハン製の粘着テープよ。必要な分だけ出して」
アリス「へぇ。これアメリカが開発したの?」
モニカ「そうよ。最近、開発されたの」
シーラ「ああ、そう、ってことは、自慢?」
【20】
セス「ここが暗号解読機関だという事は、軍事機密だからね」
ドーラ「だから私、ちゃんと否定してるんです。無線なんて作ってませんって。いや、私、嘘をつくのが苦手で。子供の頃から、英国の婦人たるもの、常に正直であるようにと」
セス「成程。完全に喋っちゃってるね」