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【11】(Cage.2 パブリック・ケージ)
 トガメ「ちょっと待ってください。ここではダメです。外での通話は、当局が指定した場所においてのみできるという法律が」
 ユキタ「そんな事は知っている。だが、それは何故だね?」
 トガメ「他の人の迷惑にもなりますし。程度の問題にもよりますけど、そもそも公共の場に電話という個人の空間に浸るのがマナーにも反してるからじゃないですか」

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【12】(Cage.2 パブリック・ケージ)
 ユキタ「私が電話をしながら、あたかも君と会話してるように見せてればOKなんじゃないか?」
 トガメ「別の人と電話をしている、そのユキタさんと私は会話をする?」
 ユキタ「電話だとばれた時には、この町に無数に設置されたカメラを通して、私の写真が撮影されいずれは当局によって拘束されるだろう。で、私は今から電話に出るから」
 トガメ「バカちょっと、バカ。何で、そんな冒険するんですか

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【13】(Cage.2 パブリック・ケージ)
 フウコ「コウイチロウが、まだ家に帰ってこなくて」
 トガメ「もしかして、パンツはいてなかったり?なんてね」
 ユキタ「バカ!何でそれを早く言わない!」
 トガメ「えぇ!?すいませーん!気づきませんで!

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【14】(Cage.2 パブリック・ケージ)
 ユキタ「巧くいったのか?電話に夢中であまり気づかなかった」
 トガメ「まぁ、自然といえば自然な会話にはなったと思います。 でも今、ユキタさん、周りに、パンツはいてないと思われてますよ」
 ユキタ「何でそんな事になるんだよ!」
 トガメ「仕方なかったんですよ!話を合わせる側の負担が大きいですよ

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【15】(Cage.2 パブリック・ケージ)
 ユキタ「…撮られてる撮られてる!ちょっと!話を合わせろと言ったろ!」
 ハルミ「あ、すいません、ぜんぜん理解してなかった

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【16】(Cage.2 パブリック・ケージ)
 ハルミ「あれ、電話だ」
 ユキタ「おい、待て待て!出るな!」
 ハルミ「大丈夫。電話をしながら、あたかもアナタと会話してるように見せてればOKなんじゃない? 」
 ユキタ「それ私が言ったな。だが、それでは話がややこしくなるから

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【17】(Cage.2 パブリック・ケージ)
 ユキタ「おい、アンタ、何で、さっきから俺ばっか、アンタの電話にあわせてるんだよ。違う。息子は、コウイチロウだ。
タムカイ「ではトガメさんのお知り合いですか」
 ハルミ「いませんね、そんなの」
 ユキタ「いないのか?私にコウイチロウという息子など!いないのか!」
クロバネ「知らないよ!そんな事!」

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【18】(Cage.2 パブリック・ケージ)
 ハルミ「電話しながら、ここで会話するのは難しいですよ」
 ユキタ「今、私は周りに『血のつながらない子供を持った、ちょっと老け顔の小学生』と思われてるはずだ」
 ハルミ「何でそんな事に?」
 ユキタ「アンタのせいだよ!どこかに行ってくれ

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【19】(Cage.2 パブリック・ケージ)
 ミツメ「私、気づいてるのよ。アンタがウチのダンナを誑かして。そろそろ、返していただけないかしら」
アラガイ「息子だよ息子!息子を預かったんだ!」
 ユキタ「あの人はアンタになんか渡さないんだから」
アラガイ「オマエ、状況理解してないな。もう預かっちゃってるんだよ」

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【20】(Cage.2 パブリック・ケージ)
アラガイ「早速だが、指定された場所に持ってこい」
 ミツメ「保険の証書をね、あの人が隠してるのみつけちゃったの」
 ユキタ「どこだ」
 ミツメ「それがね、夫の部屋のクローゼットの中にあったのよ」
アラガイ「いいか一度しか言わないぞ」
 ユキタ「クローゼットの中か」
アラガイ「勝手に決めるな!どこの家のクローゼットだよ!狭い狭い!

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撮影者:佐藤淳一  ※この画像の著作権は団体並びに撮影者に帰属します。