【21】(Cage.2 パブリック・ケージ)
ユキタ「アンタ、会話する気ないならあっち行ってくれ!」
アラガイ「今から言う場所に来い」
ミツメ「今から、アナタの家に行くから」
ユキタ「アンタは、こ、来ないでくれ!」
アラガイ「俺が行かなきゃどうするんだよ!お前一人で、金持って、ボーっとつったってるのか!」
【22】(Cage.2 パブリック・ケージ)
ツキガタ「もしもし。そちら、宇宙ですか?」
アラガイ「アンタ、今、どこにいるんだ」
ユキタ「はい、…宇宙でゴザイマス」
アラガイ「ふざけた事いってるんじゃねぇ」
【23】(Cage.2 パブリック・ケージ)
ツキガタ「宇宙の声が欲しくて、以前に25万ゲルポンチョを振り込んだんですけど」
アラガイ「本当に息子をどうにかしちゃうよ」
ユキタ「ゲルポンチョをですか?」
アラガイ「あれ…オマエの息子、…そんなご機嫌な名前だったか?」
【24】(Cage.3 ニュースピーク・ケージ)
ミツメ「私の甥っ子の家の隣に辻本さんってお宅があるんだけど。今朝、チャイム鳴らしても全然出てきやしないんだってさ。朝も朝よ?そんな時間にどこに出かける?」
フウコ「旅行中とか」
ミツメ「いやいやいやいや、それはない。あの家は、長く家を空ける時は、必ず甥っ子に挨拶していくから。その話を聞いて、私おかしいと思ってね。甥っ子と二人で鍵壊して、中に入ったの」
フウコ「恐怖ですね」
【25】(Cage.3 ニュースピーク・ケージ)
ツキガタ「一つ、クイズを出そうか」
ハルミ「何ですか、急に」
ツキガタ「毎日の生活をより充実させるヒントになるはずだよ。僕が出した問題に対し君が、いくつかの質問をし。最終的に結論を導き出す」
【26】(Cage.3 ニュースピーク・ケージ)
ミツメ「部屋の片隅に目をやるとさ、ケージのモニターはついてたんだ。画面の右上に、数字の「ゼロ」が表示されてた。ケージなんて、うちにもあるけど、あんな数字が出てるところなんか見た事ない」
【27】(Cage.3 ニュースピーク・ケージ)
ツキガタ「信仰を棄てなかった者に、必ずや報いてくださる」
ハルミ「ツキガタさん!」
ツキガタ「それは世俗の名前だよ。ハオマルーンと呼んでもらって構わない」
ハルミ「呼びませんけども。…ツキガタさんて…信者系の人ですか?」
ツキガタ「やめてくれよ。宗教は例外なく、禁止されている」
【28】(Cage.3 ニュースピーク・ケージ)
フウコ「そんな私達もまた、センターに盗聴されていた。通知が来たの」
ハルミ「私の所にも。さっき、目を通した所だわ」
フウコ「これによると否定的な言葉を使ってはいけないと。ここには『ない』『しない』『いや』『いいえ』『違う』『困る』のとり
あえず6種類が記載されているわ。使ったらどうなるのかしらね」
【29】(Cage.3 ニュースピーク・ケージ)
ハルミ「ケージのモニターが」
フウコ「え?……あ。…こっちも」
ハルミ「この通知の通り?あれがゼロになったら私達、どうなるの」
フウコ「大丈夫でしょ。何か罪になるような事をしているわけじゃない」
ハルミ「数字が減った」
【30】(Cage.3 ニュースピーク・ケージ)
ツキガタ「トイレありがとう。誤解を招く前に弁明しておくと、決して初めて来た家の、それも女性の部屋で、大便をしたわけではない」
ハルミ「否定しないでください!」
ツキガタ「本当だ。きっとそう思っているんだろうって。でも大便ではない!」
ハルミ「大便です!自分のした事を、正直に、肯定すべきです」