【1】 本多「細胞を構成する原子及び素粒子は約60%で一致しています」 小柴「…ダメね。かけ離れ過ぎている。失敗ね」 矢形「スキャンの過程に問題がある。有馬に、部屋に来るように伝えろ」
【2】 矢形「今、諦めたら、研究を立ち直せなくなるのは、おわかりですよね?」 小田「アナタの気持もわかるが。手を引いた方がいいという意見もある」 矢形「また江崎に何か言われましたか。この研究に懐疑的でしたからね」 小田「いや、研究室全体にそういう空気が流れているんだ。もう終わりにした方がいいんじゃないかと」
【3】 有馬「朝一の実験、また失敗だったらしいな。こうも上手くいかないのは、根本が間違ってるんだって。ユニットへの負担も大きくなってる」 仁科「そろそろあれも限界かもな。最近、調子も悪いし」 観山「…そうかもしれないわね。一度、基礎から理論を構築し直した方が」 本多「誰がそれを上に言うの?観山さん。アナタが?」
【4】 戸塚「それって電話でよくない?毎日毎日、そうやってどこかの誰かに話しかけている姿がもう、痛ましいんですよ。見てるの辛いんですよ」 明池「わかってない。本当は音声を違う時間に飛ばす事を狙っている。今、この声は、未来や過去に届いている。確かめようがないがね」 戸塚「それが痛ましいんです。もし私がいなくなっても、続けるんですか?」 明池「もちろん。というか、辞めるつもりなのかい?」
【5】 戸塚「できたみたいなんです」 小田「…できた?!…できたの?…あ、いえ。実験はできてません。かけ直します。…まぁその。…ちゃんと責任はとる。…結婚を考えてる」 戸塚「…はい。じゃあ、やっぱり、私、辞めた方がいいですね」
【6】 本多「あ!それ。愛さんが大事にしてたカップ。怒られるわよ」 仁科「…愛さんの飛行機って。新千歳9時発の502便だったよね。…このニュースに、離陸後消息不明って。墜落の可能性もって」 観山「…嘘でしょ?」 仁科「はい、千円」
【7】 小田「技官の前で、証明できればいいが」 江崎「室長!それはいけません!」 小田「何!何!嘘をついているわけじゃない。実験は成功したんだから」 江崎「そうではなく。夜に爪を切ると、親の死に目に会えないと言います」 小田「君は本当に科学者か?」
【8】 小柴「でも、実際に被害にあった人もいるわけだし。笑い事じゃないわ。…あ、ごめんなさい。愛さんの事は素直に喜ぶべきことよ。でも、こういう時、一日前に戻って運命を避けられたら。って思っちゃう」 尾久「映画があったわよね。バック・トゥ・ザ・ヒューチャー…ヒユーチャー…ヒュウー…フィ……バック・トゥ・ザ・フィ…ヒーだっけ?」 有馬「もうそれでいいですよ。面倒なんで」
【9】 江崎「手品をご覧になりますか?」 狭川「はい?」 江崎「コインを使った手品を一つ。コインを…、…持ってないな。君」 尾久「え?…あ、ちょっと待ってください」
【10】 尾久「奇跡を信じますか?あるいは、超常現象とか。量子力学は宗教のようなものかもしれません。目に見えない奇跡を神の仕業とするのが宗教なら、その理由を量子に求めるのがこの学問の初めだった」 狭川「お二人とも、非科学的な事を信じるんですか?」
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撮影者:佐藤淳一 ※この画像の著作権は団体並びに撮影者に帰属します。