【91】
　小柴「この世界では女性としての諦めもある。別に私はそれでも構わない。でも、そうじゃない人もいるかもしれない。現に戸塚さんも」
　小田「小柴くん！その辺で！何卒！」
　小柴「彼女は妊娠しているんです。その為に、研究を離れなきゃならない」
　戸塚「え。私、してませんよ」

【92】
江崎Ａ「嘘の上に立ち手を伸ばしたところで満足か？昨日、言ったと思うが」
　矢形「何十万という研究者の一人一人がその一生を費やして前に進めるのはほんの数歩だ。これも昨日、言ったと思うが」
江崎Ａ「昨日、言ったと思うが、焦っているのか。お前」
　矢形「昨日も言ったが、研究人生も半分を過ぎたぞ」
江崎Ａ「昨日言ったと思うが、もう一度言うぞ。これ全部言った方がいいか？」

【93】
　尾久「私は昨日と今日を行き来してわかったんです。過去に起きた出来事に無駄な事は何一つない。すべての積み重ねが今に至る。わかってもらおうとは思いません。夢みたいな話ですから」

【94】
　観山「まだ研究を続ける、続けられると思ってらっしゃるんですか」
　小柴「生体転送はできる。この目でみたんです。実験は成功したんです」
　狭川「小柴さん。…貴女は自分を見失っているようにも見えます」

【95】
　観山「手段は間違えました。そして自分のした悪事も間違いでした。しかし、アナタの間違いを指摘した事は間違っていたとは思ってません」
　矢形「私もそう思う。それで構わないと思う」
　観山「警察まで、送って行ってもらえませんか」
　狭川「あ。あ。私、タクシー運転手じゃないんです」

【96】
江崎Ａ「私だって自分の身に起きた事を証明しようがない。証明できない限りは、無いと言わざるを得ない」
　小柴「私は、自分が見たい、夢…いえ、願望だけを見ていたんでしょうか」
江崎Ａ「ああ。だが、それが無ければ、研究などできない。と思うがね」

【97】
江崎Ｂ「小柴君。謝らなければならない。生体転送は明日確実に成功する」
　小柴「初めからそう言ってるじゃありませんか。どうしたんです？急に」
江崎Ｂ「私は、この目で見たんだ。明日だ。私は、一日後からやってきた」
　小柴「ありがとうございます。上席なりの、励ましですね」

【98】
江崎Ａ「これで３回目だ。私はとうとう死ぬのか」
江崎Ｂ「安心しろ。私は、明日からやってきたんだ。私、本人だ」
江崎Ａ「ほう。では証明してみろ。私に何が起きるか」
江崎Ｂ「明日の朝、通勤途中に痴漢に間違えられ、ＳＮＳで拡散される」
江崎Ａ「聞くんじゃなかった！」

【99】
　　声「こちら明池。聞こえますでしょうか。そちらは２２日でしょうか」
江崎Ａ「…明池？…このマイクまだ使えるのか？…今日は２２日だ」
　　声「江崎さんが、ユニットでそちらに向かっています」
江崎Ａ「今、ここにいる。私も、自分で何言ってんだって思うけども」
　　声「それがですね。今日は、２４日なんです」

【100】
江崎Ｃ「今日は何日だね！？」
江崎Ａ「誰！もう全然別人！」