【51】 矢形「私は、本来、細胞学が専門でね。私が培養した細胞を使って行った。そちらのユニットでその細胞のデータを読み取り、こちらの空間に書き込む。そうやって移動させる…はずだった」 狭川「失敗したんですか。やはり研究は上手く行っていないようですね」 矢形「失敗はつきものですよ。これ以上、私からお話する事はありません」
【52】 本多「江崎さん!?え?さっき、研究室にいましたよね?」 江崎A「ずっと自分の部屋にいたよ。研究室には寄ってない」 本多「今まで江崎さんだと認識していたものは、実はそうではなかったのかもしれない。江崎さんという常識が覆ろうとしています」 江崎A「真面目な顔して何を怖い事言ってんだ。やめてくれ」
【53】 江崎B「…おい、明池、聞こえるか」 明池「…聞こえます。どうです。そちらは」 江崎B「勢いで来てしまったが、よくよく考えて、ふと怖くなってきた。これ、もし量子の状態が変わって、帰れなくなったらどうする」 明池「この先ずっと、私がお話相手になって差し上げよう」
【54】 戸塚「室長って、ご結婚されていたんですか。奥様がいながら、私と?」 小田「妻との仲は上手く行っていないんだ。別居中で離婚する方向で話し合っている。ちょっと待ってくれ。ちょっと待て!何を運んでいる!」 戸塚「意識がないみたいなんで、医務室に」 小田「重要なのはそこじゃない!誰が誰を運んでいるの!あとは私が」
【55】 江崎B「矢形。よく聞け。お前、明日の朝には、死んでるぞ。さあどうする」 矢形「言うに事かいて。どういう冗談だよ」
【56】 小田「どう言ってここに入ってきた。私の妻とでもいったか? 」 狭川「どうやら故障しているって話だったけど、何だか意識がなくなって」 小田「その事を、他に言ったりしてないだろうね」 狭川「しばらく気を失っていたみたいなの」 小田「全然話がかみ合わないな!」 狭川「それはこっちの台詞よ! 」
【57】 狭川「尾久さん?よかったです。この設備について聞きたいのですが」 尾久「やはりこちらに来てましたか。ここは一日前。私とあなたは、明日からやってきたんです。ようこそ。こちらの世界へ!」 狭川「え。何、何。怖い怖い怖い」
【58】 尾久「だからその…左折だけで、逆に早く着いちゃったの。本来乗るはずの一つ前に乗れて。それで出勤できた」 有馬「嘘でしょ?左折だけの方が早いの?」 尾久「そうなのよね。……で、こちらその運転手。寝違えてるの」 狭川「ええ?…ちょっと何言ってるんですか」 有馬「何で、運転手連れてきちゃうんですか。部外者立ち入り禁止ですよ」
【59】 尾久「…例えば、その発言を取りけすとか?そうすれば、狭川技官は、今日、ここへ来る必然性がなくなるのでは?」 江崎A「待て。無暗に向うに行きたくない。戻れなくなったらどうする」 小田「何であんな事言っちゃったかな」 江崎A「発言を取り消したところで、狭川さんが急にいなくなるわけでは…」
【60】 狭川「カップの事は、一旦諦めませんか!」
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撮影者:佐藤淳一 ※この画像の著作権は団体並びに撮影者に帰属します。